塾に何年生から通うべきかと聞いてみても人によって言うことがバラバラです。
早い方がいいという人もいれば、そんなに早くからやっても潰れるとか、塾なんかいらないとか。
そもそも意見が割れる原因の一つが、個々の志望校が違うということです。
例えば最難関校を目指すのなら、やはりかなり早めのスタートをした方が断然有利になりますし、難関レベルの下の方でいいというのであれば高学年からでも間に合う可能性が高いのです。
また、家庭によって中学受験に対する考え方にもかなりの温度差があります。
親や子供の能力やモチベーションにも個人差があります。
そういうことを考えると正直、他人の意見なんて全く参考にはならないのですが、それらを集団として捉えたときに一つの傾向というものが見えてきます。
もっとも客観的な判断基準として、大手塾の塾生数の変動を見てみることにしましょう。
例えば6年生の最終的な人数を100として考えた場合、各学年のスタート時点での人数の比を見てみしょう。
学年によって多少の差はありますが、だいたいこんな感じになります。
小5:80~90
小4:60~70
小3:40~50
小2:30~40
小1:20~30
新小5のスタート時点で、8割以上の人が塾に通っているということですね。
ここで誤解のないように言っておきますが、8割の人が小5から塾に通うということではありません。
小4までに6~7割がすでに通塾していて、小5で新たに入塾してくるのはその差にあたる10~20%程度だということです。
同様に新小4で通塾を始めるのは全体の20%程度ということになります。
全体のおよそ半数は小3までに入塾しているという計算になります。
20%くらいは小1から通っているということですね。
昔は小4で急に人数が増えていた気がするのですが、最近は少子化が進んだせいか全体的に受験する人が減ったせいで、低学年から通塾する人の割合が大きくなったのかもしれません。
最難関校を目指すのなら、遅くとも小3のうちに入塾しておいた方がいいというのが私の意見です。
最難関校に合格するためには塾の通常カリキュラムでは足りません。
多くの塾では最難関向けの特訓講座やクラス編成が用意されており、最難関志望であればなるべくそのすべてを受講するように勧められると思います。
難関校(最難関校以外)志望であればそこまで必要がないと言われるでしょう。
ところが、最難関レベルの講座を受講するには成績が必要になります。
偏差値は塾によって異なりますが、だいたい偏差値60前後が大まかな目安としておきましょう。
小6で志望校別コースというのが始まり、一般講座や特訓講座と合わせて志望校対策が行われるわけですが、その時点で受講資格を満たしていなければそこに参加することはできないのです。
そのためには小5のうちに最難関コース受講資格の偏差値に達していなければ厳しいということになります。
で、小5で偏差値60前後を取ろうと思ったら、あるいは小6の最難関コースに照準を合わせておこうと思ったら、小5のときに最難関向けの特訓講座を受講していなければなりません。
小5の特訓講座は小6の基本内容+最難関レベルの先取りですから、これをやっておかなければ小6で勉強が回らなくなります。
ところが小5の一般講座と特訓講座を受講すると宿題が回らないという声をよく聞きます。
実は小4の特訓講座で小5の先取りをやっているのです。
それを受講していないか、十分に身につけていないから小5で苦しくなるのです。
ここをスムーズにすり抜けるためには小4で特訓講座まで受講しておいた方がよいというシステムになっているわけですね。
ところが、小4入塾でいきなり特訓講座を受講できるかというと、まず受講資格を満たしていなければなりませんから、何の準備もなしにというわけにはいきません。
実際のところ、小4で入塾していきなり上位クラスに入ってくる集団がいるのですが、彼らは別の塾で十分な先取りをしてきていますから、実質小4スタートではないのです。
そこで、小3のうちから小4の先取りをしておこうということになるわけですね。
当然ながら小3でも特訓講座は存在しますからなるべく早くそこに入っておきたいということになるわけです。
ですが、さすがに小3では学校で習うことも知れていますから、塾で習う内容は一般講座でも小4の先取りみたいになってきます。
小3の間に力をつけて上位に上がることが出来れば、最難関レベルに到達できる可能性は高いのではないかと思います。
小3の間は算国の2科目ですから全力で行けば何とかなるかもしれません。
ちなみに大手塾では小3のうちに小数、分数なんかをやってしまいます。
小4でももう一度習いますが、そのとき初めて習っているようではなかなか上位に追いつけません。
ですから、小3からスタートしておいた方がいいということなのです。
ところが、灘を狙うとなるとそれでは不十分かもしれません。
小4の時点で上位(灘A判偏差値程度)に食い込んでいないとその先追いつくのは至難の業です。
で、当然ながらその上位層は小3でも上位にいます。
そこに入るためにはもっと早い段階からということになるわけです。
小1、小2あたりから始める意味はあるのかという議論はよくありますが、そんなことは議論しても全く意味がありません。
各家庭で判断すればいいだけの話です。
小2でもたかだか週1回の授業ですから、それが負担になるという子には初めから無理な話かもしれません。
塾に通うよりも家庭学習にどれだけの時間をかけるかが本当の勝負なのです。
家で十分に勉強できているのなら通塾は必要ありません。
学力や勉強の仕上がり具合を見るために公開テストなどを受験するだけで十分だと思います。
競争心を煽ったり、危機感を持たせたり、モチベーションを上げるために通塾するというのが最大のメリットかもしれません。
つづく
