これは塾の説明会でもそうなのですが、絶対に言ってはならない台詞というのがあります。
それは、
「絶対成績があがる」
「必ず合格する」
というような話です。
一歩間違うと法律に触れる内容です。
絶対に合格させる方法があるのならかまわないのですが、そうでない場合は問題です。
そこでそのような表現はしてはいけないということに決まっているのです。
しかし、それでは保護者は満足してくれませんから、”限りなく黒に近いグレー”な話をするわけですね。
「努力すれば必ず結果がでます。」
「昨年度は全員志望校に合格してます。」
「講師が一丸となって必ず結果が出せるように頑張ります。」
そんなセリフを連発するのです。
努力しようがしまいが結果は必ず出ます。
それがいい結果か悪い結果かは知りませんが、結果は出るので嘘ではありません。
昨年の結果は嘘をついていなければ好きなだけ連呼していいと思います。
ただし、今年も同じ結果が出るとは限りませんし、それを約束したりしなければ法的にはOKです。
「必ず結果が出るように頑張ります」というのはうまい表現で、”必ず”というのは”頑張る”にかかっているわけです。
全力で頑張ってもダメなこともありますが、頑張ったのですから問題はないということです。
それを聞いている人が勝手に勘違いしてしまうのはしかたがありませんし、それは説明する側の責任ではありません。
「努力すれば必ず合格する」、「今年も全員合格する」と思いこんでしまったとしても、嘘をついてだましたわけではないですし、みなさん大人ですからそれは自己責任ということになります。
すべては説明会の弁士の腕次第です。
学校によってはまるで催眠商法のような、新興宗教がかった異様な雰囲気に包まれていくのです。
そこまでやるなら全員入れてあげればいいのに、とも思いますが、学校が欲しいのは優秀な生徒です。
そのためには競争が必要なのです。
それではみなさんが気になるセリフ第2弾いってみましょう。
【塾は必要ありません】
これもよく聞くセリフですね。
「うちの学校に通えば塾は必要ありません」
そんなに言い切ってしまっていいんでしょうか?
その根拠となるのは、塾に通わずに学校の勉強をしっかりやって国立に合格した生徒もいるから、だそうです。
あるいは、私立大学の推薦枠があるので成績優秀者は必ず進学できる、というものです。
ゆえに「塾は絶対に必要だとは言えない」、証明終わり。
数学的には正しいです。
塾は絶対に必要という命題がFであると言うだけの話です。
一人でも反例があればいいのです。
何のためにわざわざそんなことを強調するのでしょうか?
中学受験をするみなさんは塾に高いお金をかけています。
特に6年生になれば年間100万以上かかっているという人も多いでしょう。
私立中学に入れば授業料その他で、学校によっては年間100万近いお金がかかるわけですから、それ以上塾や予備校にお金をかけたくはないですよね。
そこで、学校が「うちは塾要りませんよ」と言ってくれれば安心して預けられると。
そういう保護者の心理を逆手に取った営業戦略なのです。
実際のところどうなのかというと、
特に医学部・歯学部志望、東大・京大志望、国立薬学部志望ともなれば中1から塾に通う人も少なくありません。
中学受験ですでに経験していると思いますが、各塾のトップ層はだいたい低学年から塾通いしている人が多いのです。
入試では先行逃切りがもっとも有効な戦略です。
そのためには少しでも先取りし、周りが遊んでいるうちにせっせと勉強しておくのがいいわけです。
それと同じことが家で自分独りで、もしくは親がつきっきりで出来るのであれば塾は必要ありません。
たまに模試を受けに行くくらいで十分かもしれません。
ですが、地方の国公立大や関関同立あたりでいいというのであれば、確かに塾は必要ないかもしれません。
少なくとも私立の中学では副教材として塾用テキストなどを使いますが、いわゆる高校受験の塾の上位クラスで使用しているようなテキストですから、医学部を狙うようなトップ塾でもない限りはやっていることはそんなに変わりません。
学校の宿題をきっちりこなして、定期テストで平均以上を取っていれば何とかなるものです。
問題は学校の授業についていけなくなったり、成績が思わしくない場合ですね。
進級がまずいほどの成績になると学校によっては呼び出しを受けます。
中2の時点で欠点(赤点)が多ければ、転校を勧められます。
理由はそのまま中学を卒業と同時に退学になると、内申点が悪くて公立高校受験に不利であること、また、私立中学は中3で高校内容に入るので、それよりも公立に行って受験勉強をした方がいいですよ、ということです。
でも、そこまで追いつめられる前に何度か呼び出しを食らいます。
そこで学校の先生に、「どうやって勉強したらいいでしょうか?」と聞くと、「塾に行ってください」という答えが返ってきます。
ちなみに塾でも”中高一貫向け”のクラスというのがあって、私立中の子はふつうそこに入るのですが、学校よりも進度が速く中2の2学期には高校内容に入っていたりします。
そういうクラスに入ろうと思ったら中2の時点ではかなり遅く、学校でついていけない状態の子では入塾テストにパスできない可能性が高いです。
そんな塾でも高校から入れるクラスがあります。公立高校向けのクラスで、高1から高校内容をやりますから、そこに合流するという手があります。
ただし、中高一貫の子とは1年半くらいの差が出来ていますから、当然現役合格率は低くなります。
近畿圏で国立大、医学部を志望する人たちに人気のある塾と言えば、鉄緑会や研伸館ですが、どちらもHPを見ると学校別の在籍者数が公表されています。
全学年の合計なので、学年別の人数は不明ですが、最難関校の生徒が多数在籍しています。
その中には「うちの学校は塾は必要ありません」と言っている学校も多数あります。
気になる方は一度チェックしてみてください。
【通塾困難な学校】
学校によっては通塾に困難な場合もあります。
学校が塾から遠い場所にある場合や、授業時間数が多くて終了時間が遅い場合などが考えられます。
また、学校からの課題(宿題)が多く、塾に通うと負担が大きすぎる場合もあります。
自主性を尊重する学校の場合は宿題も少ないことが多いのですが、管理型の学校の場合は何かと面倒なことが多いかもしれません。
中学入学後に通塾を考えているのであれば、そういう条件をよく考えた上で学校を選ぶべきかもしれません。
特に医学部、東大・京大を目指すのであれば、どこの塾・予備校に通うのかというのが大きな条件になってくるかもしれません。
となると、塾優先の生活を想定して、なるべく自由な学校で、塾のあるターミナル駅を通って通学する学校というのもいいかもしれません。
学校ではのびのびと楽しく生活し、勉強は塾と家でやればいいのです。
塾漬けは可哀想と言われるかもしれませんが、中学の間はどうせ数学・英語の2科目ですし、大学合格に必要な学力が同じであるとすれば、それを中学のうちから叩きこむのか、卒業してもまだ受験勉強をつづけるのかの違いでしかありません。
どっちが可哀想なのかはみなさんの判断にお任せします。
塾は最小限に抑えたいというのなら、家でしっかり勉強できるように今から学習習慣を作っていくしかありません。
どっちみち家で勉強できない子は医学部とか東大・京大は無理だと思います。
関関同立でいいと思うのなら、何度も言いますが関関同立の附属に行くのが一番確実です。
ちなみに中学受験で関関同立の附属中にぎりぎり合格できるレベルの子がそのままのペースで大学受験まで行くと、関関同立は高い壁となって現れます。
内部進学の学力が問題視されることもありますが、外部受験で入れなければお話にもなりません。
うちの子は勉強しないタイプだという確信があるのなら、早めの決断をお勧めします。
まだまだ続きます