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コスパの良い私立中学

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たまに週刊誌などで特集されていたりする「コスパ最強の私立中学」の話です。

コスパ?

「チョット何言ッテルカワカラナイ…」

なんていう人もいるかもしれません。

どういうことなのか考えてみましょう。

 

 

  コスパとは

コスパというのは「コストパフォーマンス」の略です。

日本語にすると「費用対効果」のことですね。

一般的に「費用」というのはお金のことを指します。

そう考えた場合、私立中学校におけるコストというのは授業料のことになります。

また、「効果」というのは最終的に進学する大学、つまり進学実績と考えるのが一般的です。

 

ということは、コスパの良い私立中学というのは、授業料に対して進学実績が良い学校と考えることが出来ます。

週刊誌や受験情報などで言われているコスパとは若干意味が違う気もしますが、正しい日本語で解釈するならこういうことですよね?

 

ところが、週刊誌や受験情報などで見かける「コスパの良い私立中学」というのは、どうやら入学するときは比較的偏差値が低く、大学合格実績で見ると比較的偏差値が高い学校のことを言っているようです。

単純に言うと、コストは入口(入学時)の偏差値で、入口と出口(卒業時)の偏差値の差がパフォーマンスということになるらしいです。

つまり、入学しやすくて実績が出る学校ほどコスパがいいとされているようですね。

 

チョット何言ッテルカワカラナイ…

 

 

 

 

  年間授業料を比較してみる(近畿圏)

年間授業料を比較してみましょう。

大学進学実績が良い学校と言えば最難関レベルとされる学校です。

まずは、それらの学校を比較してみます。

最難関校と難関上位校14校を年間授業料の安い順に並べてみました。


四天王寺中学校    ¥614,400
神戸女学院中学部    ¥637,400
大阪星光学院中学校    ¥642,200
灘中学校    ¥648,000
清風南海中学校    ¥660,000
甲陽学院中学校    ¥670,000
東大寺学園中学校    ¥709,000
洛南高等学校附属中学校    ¥709,000
白陵中学校    ¥711,600
須磨学園中学校    ¥723,852
六甲学院中学校    ¥752,300
西大和学園中学校    ¥775,200
洛星中学校    ¥777,600
高槻中学校    ¥899,052

 

大学進学実績を数値化するのは難しいですが、この中で授業料に対する進学実績が最も良い学校はすぐにわかります。

どう考えても灘中ですね。

というわけで、「コスパ最強の私立中学は灘中学校」で決定です。

2位は難しいですね。

甲陽学院か東大寺学園でしょうか?

 

女子の進学先なら、コスパ最強はおそらく洛南になるかと思います。

神戸女学院は安いですが、生徒数が多いのでパフォーマンス(平均値)では洛南や西大和に負けると思います。

 

逆にこの中で一番コスパが悪いのは高槻中ということになります。

学費が高いですからね。

校舎改築が主な原因だと思われますが、きれいな校舎が使えると考えたら悪くはないです。

 

 

これは授業料だけの比較なので、初年度にかかる入学金やその他費用は含めません。

また、学校以外に通塾する場合の費用は考えないものとします。

「塾は必要ありません」という学校の言葉をそのまま信じた場合の費用だということにしましょう。

 

 

と、ここまで色々調べてみましたが、そんなことをするまでもなく、結局は大学進学実績の良い学校がコスパも良いということで決着がついてしまいます。

多少授業料が高くても、大学進学実績が良ければコスパも良いということですね。

 

これではネタとして面白みは全くありません。

ですから、週刊誌や受験情報のように偏差値で考えるというのもいいかもしれません。

 

 

 

 

  入口偏差値と出口偏差値

偏差値のことを理解している人なら、どうやって入学時と卒業時の偏差値を比較するのだろうと疑問に思うはずです。

学校内で偏差値を出したところでそれはコスパを求める上で全く意味がありません。

大学受験がゴールであるとするなら、全国模試の偏差値等で比較する必要があるかと思います。

 

入口偏差値

入学時の偏差値を比較するには、生徒個々の偏差値ではなく、塾が出しているA判定偏差値をその学校の基準値として考えるのが一番簡単です。

その中でも、全国の私立中学校の偏差値を出している大手塾、例えば四谷大塚、SAPIX、日能研あたりの偏差値を参考にするのが無難ですね。

 

 

出口偏差値

大学合格実績を比較するのであれば、各大学の学部ごとの偏差値を調べなければなりません。

これは大手予備校の偏差値表を参考にするといいでしょう。

 

 

で、そのまま計算してみると大変なことになります。

灘中なんかコスパ最悪です。

中学受験時の偏差値が日能研で71、河合塾の偏差値で東大理Ⅲが72.5ですから、東大理Ⅲ以外は全員偏差値が下がったことになってしまいます。

 

そもそも、中学受験と大学受験は母集団が異なります。

中学受験の場合、母集団は近畿圏なら学年全体の10%程度、首都圏なら20%くらいです。

大学受験は受験者数が全国で約65万人、学年人口が110万人くらいですから、全国で約60%です。

あまりに母集団が違いすぎますね。

 

 

灘中の定員÷近畿圏の受験人口≒1% ⇒偏差値72

東大理Ⅲの定員÷全国受験人口≒0.015% ⇒偏差値79

と考えたらいい感じに見えます。

 

ですが、

全国医学部定員数÷全国受験人口≒1.43% ⇒偏差値71

全国医学部・東大・京大定員合計÷全国受験人口≒2.3% ⇒偏差値70

と考えると、灘卒のほとんどが偏差値ダウンという結果になってしまいます。

 

トップレベルは偏差値で考えてはいけないということですね。

 

 

ちなみに、「入学後に伸びる学校」というネタに出てくる数値は、学校内で受験する業者の模試データが根拠となっていたりします。

その模試を採用する全国の私立中学や学習塾の生徒全体が母集団となります。

ですが、中学の時点での受験者数と、高校の時点での受験者数ではかなり差があると思いますし、すべての学校が参加しているわけではないので、それを比較するのはかなり無理があります。

 

しかし、中学受験のときに難関校(いわゆる中堅校)と言われるような偏差値40~50あたりの学校の場合、中学入学時点では全体的に偏差値が低く出ますが、高校になると状況は変わります。

例えば中学入試の段階での偏差値50は、受験人口の中央値ですから、近畿圏全体での順位で考えたら9000位くらいになります。

大学受験で近畿圏の学年全体の60%が受験するとしたら約10.8万人ですが、中学受験をした約1.8万人を引くと約9万人が高校から参戦してくると考えることが出来ます。

中学入学時点の9000位を維持していたとすると、全体では上位8.3%、偏差値で63くらいになります。

仮に偏差値63くらいあったとして、どのあたりの大学に行けるかというと、同志社あたりがちょうどそれくらいの偏差値になると思います。

 

つまり、中学受験で偏差値50くらいで、入学後もそのレベルを維持していくと、卒業時には偏差値63くらいになり、同志社レベルの大学に合格できるということですね。

※学年平均をキープするとします。

 

それをコスパが良いとするのであれば、入学時の偏差値が低い学校ほど伸び率が高くなる計算になります。

入学時偏差値40だと近畿圏で15000位、それを維持すると卒業時には偏差値60くらいになります。

レベルとしては、立命館大学、関西大学、関西学院大学あたりですね。

ですが、伸び率はかなり高いと言っていいと思います。

 

 

 

  関関同立

近畿圏の私立大学の中で難関と言えば、関関同立ですね。

その次のレベルだと、産近甲龍でしょうか。

 

もちろん、理系・文系、希望する学部によってレベルは異なります。

関関同立の中では同志社の人気が最も高いですね。

 

そんな同志社大学への合格実績を見てみましょう。

データは2021年です。

 

同志社大学合格者数ランキング2021

1 同志社中学校    305名
2 同志社香里中学校    285名
3 同志社女子中学校    223名
4 大阪桐蔭中学校    159名
5 清教学園中学校    139名
6 須磨学園中学校    117名
7 明星中学校    112名
8 洛南高等学校附属中学校    105名
9 京都市立西京高等学校附属中学校    101名
10 四天王寺中学校    101名
11 三田学園中学校    101名
12 清風中学校    87名

 

合格者数の重複は多分ないと思います。

 

大阪桐蔭の先生が以前、「うちは同志社大学合格者数トップです」とか言ってましたがそれは嘘でした。

ちなみに同志社国際は生徒数が少ないので順位が低いです。

 

洛南や四天王寺の名前が気になる人もいるかもしれませんが、高校入学の生徒の人数も含まれています。

ちなみに洛南高校(海)と同志社高校の偏差値は同じくらいです。

 

初めから同志社大学を目指しているのなら、同志社中学が偏差値50前後(塾によります)で、ほぼ全員が内部進学するのである意味「コスパ最強」かもしれません。

 

ちなみに同志社系列以外の学校は浪人生を含んだ数字です。

 

 

関西学院大学合格者数ランキング2021  
1 関西学院中学部    349名
2 須磨学園中学校    172名
3 三田学園中学校    103名
4 大阪桐蔭中学校    84名
5 雲雀丘学園中学校    76名
6 桃山学院中学校    74名
7 明星中学校    67名
8 神戸海星女子学院中学校    65名
9 甲南女子中学校    63名
10 履正社学園豊中中学校    63名
11 清風中学校    63名
12 帝塚山中学校    60名

 

その他、提携校

関西学院千里国際中等部
啓明学院中学校
賢明学院中学
帝塚山学院中学校

 

 

関西大学大学合格者数ランキング2021       
1 関西大学第一中学校    367
2 関西大学北陽中学校    243
3 清教学園中学校    155名
4 清風中学校    142名
5 大阪府立富田林中学校    131名
6 明星中学校    129名
7 桃山学院中学校    127名
8 常翔学園中学校    120名
9 大阪桐蔭中学校    110名
10 関西大学中等部    101名
11 関西大倉中学校    94名
12 高槻中学校    84名

 

※関大系列校では関西大学合格後に国立大学受験が可能です。

 

立命館大学合格者数ランキング2021    
1 立命館宇治中学校    311名
2 立命館守山中学校    290名
3 立命館中学校    237名
4 京都市立西京高等学校附属中学校    191名
5 明星中学校    160名
6 洛南高等学校附属中学校    159名
7 関西大倉中学校    146名
8 大阪桐蔭中学校    132名
9 須磨学園中学校    124名
10 清風中学校    120名

 

その他の附属校・提携校

立命館守山中学校
平安女学院中学校
初芝立命館中学校
初芝橋本中学校

 

 

 

  まとめ

最難関レベルを目指している人は「コスパ」を考えるべきではありません。

結果がすべてだと考えるのなら、それにかかるコスト(費用と労力)は採算度外視すべきです。

 

逆に「コスパ」を考える人は、偏差値の低い学校に入れば楽が出来ると考えてはいけません。

下手をすると最難関校以上に勉強をさせられるので、その結果として出口偏差値が上がるのです。

中学に入ったら夏休みが全然ないかもしれませんよ。

 

 

私の結論としては「関関同立」系列校・提携校がコスパ最高です。

 

国立大学医学部を目指す人は鉄緑会ですね。

鉄緑会大阪校在籍者数を見れば、志望校という概念が変わるかもしれません。

 

 

 

 


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