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幼児教育はした方がいいのか?

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これもコメントでリクエストがあったネタです。

 

正直言うと私はあまり幼児教育には触れたくありません。

専門ではありませんし、私自身がいわゆる天才を育てるような幼児教育を受けていたわけでもないからです。

 

幼児教育に興味がある方はすでに色々調べていると思いますし、やっているとかやっていたという人もけっこういるのではないかと思います。

 

有名な幼児教材は検索すると出てきますので、興味があったら調べてみるといいと思います。

一番利用者が多いのはベネッセの「こどもちゃれんじ」でしょうか。

しまじろうのおもちゃ欲しさに始める人も多いようです。

でも、これはあまり中学受験向けではないですね。

 

もっとレベルが高いものだと、Z会、モコモコゼミ、まなびwith、ワンダーボックスなどでしょうか。

七田式とかもよく聞きますね。けっこう高いです。

 

幼児教材は母親がどれだけ横についてやれるかが勝負だと思います。

 

 

大手塾でも幼児教室をやっていたりします。

あえてどこの塾とは言いませんが、はまキッズ、まぶちキッズクラブなどがあります。

大手塾が幼児教室に手を出す最大の理由は「抱え込み」です。

幼児教室に子どもを通わせる親は”意識高い系”ですから、将来的に最難関中受験を考えています。

ということは、小学生になったらそのまま塾に誘導すれば6年間通塾してくれて、合格実績にも貢献してくれる可能性が大きいからですね。

ただし、塾講師は幼児教育なんて出来ませんから、専門の先生を雇って別会社を立ち上げるということになるわけです。

 

 

 

  うたい文句

 

幼児教育の教材や教室の案内を見ていると、よく出てくるうたい文句があります。

 

スキャモン曲線(Scammonの発育曲線)というやつですね。

子どもの神経系は5歳までに成人の80%まで成長し、12歳までに100%になります。

だから幼児教育が重要だという理屈です。

 

論文にケチをつけるつもりはありませんが、この理論が発表されたのは1930年です。

ちょっと古すぎませんか?

有名な「エビングハウスの忘却曲線」も1885年ですよ。

 

スキャモンの発育曲線というのは、ヒトが生まれてから20歳になるまでの成長度合いを

・一般型

・リンパ系型

・神経系型

・生殖器型

の4つに分けてグラフにあらわしたものです。

そのうち、神経系型は脳の重量や頭の大きさを測定しているらしいです。

 

         スキャモンの発育曲線

 

つまり、ヒトの頭は5歳までに成人の80%くらいの大きさに成長するということなのです。

で、それが幼児教育とどう関係しているのでしょうか?

 

 

似非科学のにおいがするのは気のせいでしょうか?

 

 

モンテッソーリ教育というのも有名ですね。

ちなみにモンテッソーリ教育法が完成したのは1907年です。

歴史がありますね。

 

で、よくモンテッソーリ教育を受けた有名人の名前が出てきます。

wikiによれば、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグがモンテッソーリ教育を受けたというのは誤りだそうです。

それが本当なら、その名前を出している幼児教室は胡散臭いということになります。

 

 

「ペリー幼児教育計画」というのもありますね。

昨日の読売オンラインに出てました。

ちなみに1960年代の調査だそうです。

 

 

 

  IQ

 

IQと学力の相関関係

IQと学力には相関関係があって、IQが高い人は学力が高いと言われています。

だから、幼児教育でIQを高めれば将来天才になれるかもしれないという話です。

 

学力というのは学校のテストで測ります。

文科省がやっている全国学力調査のデータを見るとけっこう面白いです。

 

 

公立小学校と私立小学校の平均点、得点分布の違いを見るとやはり差ははっきりしますね。

公立中学校と私立中学校でも比べてみるといいと思います。

 

IQというのは知能指数のことで、病院などで受ける知能検査の結果が知能指数となります。

したがって、ネット上に転がるIQテストの結果は正確なものではありません。

 

幼児教育で行われる知能トレーニングは内容が知能検査の問題と酷似していたりするので、やり込むと高得点が取れるようになります。

そういうトレーニングをしていなくても、塾などでテスト勉強に慣れている子の方が問題の理解も処理も速いので、学力の高い人ほど知能検査では有利になると思われます。

 

つまり、学力の高い人ほどIQが高くなる傾向があるのは因果関係によるものです。

でも、その逆を考えるとIQが高い人ほど学力が高くなるのでしょうか?

学力は学習の積み重ねによって獲得する知識や経験の量で上がっていきます。

いくらIQが高くても、知識をインプットしていなければ学力テストの問題は解けません。

さらに言うなら、学力テストのためにテスト勉強をするのはいいのですが、知能検査のために練習をするのは好ましくありません。

健康診断の前にお酒を控えたり、ダイエットする人がいますが、検査の数値を良くしたところで、むしろ病気を見逃す危険性すらあるのです。

もっとも、健康診断で引っかかる人はかなりまずい状況かもしれません。

 

ちなみに私は今までにIQが高いと言われる人をたくさん見てきました。

もちろんその中に東大・京大卒とか医師、大学教授、脳科学者、お笑い芸人などもいました。

ですが、そういう優秀な人の割合はというと、大手塾の塾生全体に占める最難関中進学者の割合よりも低いです。

学歴は勉強量に比例するのです。

 

東大生のIQは平均120以上というのも根拠はありません。

IQ120というのは偏差値に換算すると63くらいですから、東大の偏差値を考えるとちょっと低いですね。

1学年100万人として、東大合格レベル(東大・京大・医学部)が合計1万人とすれば上位1%、偏差値で74くらいになります。

IQに換算すると138くらいですね。

(※標準偏差を16とした場合)

100人に1人の天才です。

 

 

 

 

  裏話

 

大手塾時代にとある先生が幼児教室の卒業生の追跡調査をしているというので、話を聞いたことがあります。

 

結論から言うと、幼児教室卒業生の最難関中の合格者の割合はそうでない人と比べて有意な差はありませんでした。

 

 

 

  結論

 

幼児教育は無駄だとは言いません。

結局のところ小学校内容の先取りをしているわけですから、塾に入ったときに多少のアドバンテージはあると思います。

しかし、塾の進度もかなり早いので、1年もすればその貯金はなくなっているということです。

 

なくなっているというと語弊があるかもしれません。

例えば、子どものときに毎年お年玉を貯金(預金)していたとします。

6歳から20歳までの15年分、その平均が毎年2万円ずつだとすると合計30万円貯まります。

5万ずつなら75万円になります。

ですが、大学を卒業して就職し給料を貰うようになれば、たった数ヶ月でそれを上回る貯金(預金)ができるのです。

そう考えたら、子どものときにお金を使うのを我慢してたのは何だったのかという疑問が湧いてきます。

でも、そういう習慣がない人は給料を貰うようになってからも貯金(預金)をせずに全部使ってしまうかもしれません。

どっちがいいかはその人の考え方、生き方、年収によって変わってくるので、本人が満足しているのならそれでいいと思います。

でも、その人が「お金なくなったから貸して」と言ってきても絶対に貸しません。

 

というわけで、幼児教育についてはみなさんの判断でいいと思うわけです。

勉強ばっかりさせずに遊ばせる方がいいと思うならそれでもいいと思います。

どちらにしても塾に入ってから同じだけのことはやらなければなりません。

 

すでにお子さんが小学生になっている場合は、今さら考えても仕方ありませんね。

目の前のことを頑張りましょう。

 

 

 

 


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