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同じ偏差値で合否の差が出るのはなぜ? 仮説3

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同じ偏差値なのに合否が分かれる原因第3弾です。

 

仮説3

クラス帯・コースによる学習量の差

 

公開テストなどの偏差値というのは、得点分布が正規分布であるという仮定に基づいて計算されています。

つまり、平均点付近の点数を取る生徒が一番多く、平均から遠ざかるほど少なくなり、グラフにすると平均点を頂点とするなだらかな山ができるというのが理想です。

ところが返却された得点分布をみると、必ずしもそうなっていないことに気付くと思います。

平均点を挟んで上と下に2つのコブができている、フタコブラクダ型の分布になることがよくあるのです。

どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?

 

もし塾生全員が同じ授業を受けて同じように勉強しているのなら、テスト結果も正規分布に近づくと思います。

しかし、実際には同じではないのです。

講師の力量はあまり関係ありません。

まず、上のクラスと下のクラスでは同じテキストを使っていたとしても宿題範囲が違います。

それに伴い学習量の差が出てきます。

また、上位層は最難関校を狙って特訓講座を受講しています。

そこでさらに学習量の差が出ます。

もしテストの出題範囲を下のクラスの学習範囲だけに絞ったとすると上位クラスは満点が続出することになりますから、これはまずいのです。

そこで上位向けの難易度の高い問題(実力問題ということになっています)が出題されますが、難易度の高い問題の中には上位クラスにとってはわりと基本的な問題も含まれます。

その結果として、上位クラスの子なら習っていて知っているけど、下位クラスの子は全く習っていない問題がどうしても出てきてしまいます。

同様に特訓講座を受講している子とそうでない子の差も出てしまいます。

つまり母集団といっても、その中には性質の異なる複数の集団があるということですね。

それを集計すれば山が2つくらいできるのは当然ということになります。

 

しかし、それでは偏差値が少しおかしなことになってしまうのです。

塾はそれを解消するために、最難関コース・難関コースとコースわけをして、うまく棲み分けをしているのですが、ちょうどその狭間のあたりでややこしくなるのです。

いわゆる難関コースの上位校が一番影響を受けます。

学校は学校で、入試日程をずらし、募集定員を調整し、学校内でコースを分けたりしてそれに対応しようとしていますが、なかなか難しいのではないかと思います。

 

例えば男子でいうと、六甲と洛星の2校を考えてみましょう。

偏差値で見るとそれほど大きな違いはありませんが、六甲は難関校、洛星は最難関校としている塾が多いのです。

これは地理的な要因もあります。

兵庫県には灘・甲陽という男子最難関校があり、六甲は男子の3番手という位置づけになります。

ですから、最難関に入れるとなるとちょっとレベルの差が大きすぎます。

一方、京都では洛星が男子校としては伝統あるトップ校です。

(共学も入れれば偏差値的には洛南の次のということになります。)

そう簡単に最難関から外すわけにもいかないのでしょう。

 

ところが、六甲は難関レベルの学校の中では人気もレベルも高い学校です。

受験者の上位層は甲陽から志望校変更してきた子が多いかと思います。

B日程は最難関コースの併願校です。

ですから最初から六甲志望で難関コースの勉強しかしていない子にとってはかなりの難関校であることは間違いありません。

 

六甲や洛星のA判定偏差値はだいたい50後半としてる塾が多いと思います。

ところが、そのあたりの偏差値は判断が難しいところなのです。

 

塾でいうと中堅層の上位の子は偏差値50台後半くらい取ります。

ところが、上位層の中でも下位の子はやはり偏差値50台後半くらいなのです。

同様に、志望校別コースでも難関コースの上位は偏差値50台後半ですが、最難関コースの下位は偏差値60に届いていません。

両者は公開テストの偏差値で見ると、同じくらいの偏差値であるにも関わらず、所属する集団が異なるのです。

それが入試結果にもあらわれてきます。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」ではなく「鰯の頭より鯛の尻尾」なのです。

 

同じ偏差値ということは、同じテストで同じ点数を取ったということですが、その点数の取り方が違うのです。

 

例えば、難関コースの上位は正答率の高い問題をきっちり正解します。

正答率50%以上の問題をすべて正解すると偏差値は50台後半くらいにはなります。

しかし、難易度の高い問題は手をつけなかったり、手が出なかったりするのです。

一方で、最難関コースの下位はミスが目立ちます。

難易度の高い問題も正解しているのですが、簡単な問題で点数を落としたりもします。

その結果として偏差値60台にあと一歩で届かず、というパターンがけっこう多いのです。

あるいは算数で偏差値60台後半をとっておきながら、国語で偏差値40台というアンバランスな生徒もいます。

3科の偏差値でみるとやはり偏差値60台に届きません。

 

現場の講師に聞くと、やはりその違いを肌で感じていると思います。

難関上位の子に比べて最難関下位の子の方が理解力はある(でも点数がとれない)、と。

それも当然の話で、中堅層の子と上位層の子では演習量も宿題量も1.5倍くらい違います。

低学年からの力の入れ方も違いますし、日々の勉強時間もかなり違うのです。

なのにどうして成績が取れないの?という話はさておき、この両者が同じ中学に入学すれば学力差が出てくるのも当然の話です。

 

もちろん中堅層の上位にも勉強している子はいます。

ですから、最難関コースから難関コースへ志望校変更したからといって、難関コースでトップになれると思ったら大間違いです。

成績不振でクラス落ちした経験のある人ならわかるかと思います。

クラス落ちするのもトップになれないのも理由は同じです。

勉強量が足りないからですね。

それでもそこで心を入れ替えて本気を出せば、今までの貯金もありますから最終的に逆転できることもあるわけです。

志望校を下げたら急に成績が上がってくる子がいます。

ちょうどそのレベルがその子には合っていたということでしょう。

 

 

というわけで、同じ偏差値でもその中身がずいぶん違うということもあるのです。

それが入試問題になると大きな差となって出てくるわけです。

塾のテストより難易度の高い問題が出てくるか、それとも易しい問題ばかりなのかでずいぶん状況が変わります。

入試日程や募集定員が変わったり、ライバル校の動きによっても大きく変動します。

何をどう対策すべきかをよく見極めなければなりません。

 

 

 


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