「子どもの能力を限界まで引き出す」というフレーズが好きな人は多いと思います。
限界まで能力を引き出せたら最難関中でも余裕で合格できそうなイメージなのでしょうか。
能力を限界まで引きだすということがどういうことなのか、例を挙げながら考えてみましょう。
集中力の限界
集中力の限界は人によって大きくことなります。
一般に小学生の場合は学年×10分などと言われています。
学校の授業時間が45分しかないのも、集中力が続かないからなのです。
中高で50分ですね。
これが大学になると90分授業とかになります。
では、みなさんの集中力はどれくらいでしょうか?
でも集中力って何をやっているかで違ってくると思います。
例えば好きなことなら何時間でも出来るという人がいます。
それは本当でしょうか?
そんなことを言う人は絶対に限界までやったことはないと思います。
私もかつて海外ドラマにハマっていたとき、1日にどれくらい見ることができるかやってみたことがあります。
※ 実験しようと思ったわけではなく、単に見たかったから見続けただけです。
そういう実験には最適のドラマ、「24 -TWENTY FOUR」でした。
1シーズン見るのに約24時間かかります。
当時はレンタルDVDで見ましたが、一気に借りて1週間以内に24話見なければならないというドラマの設定のようなシバリでした。
1話見終わるとすぐ次が見たくなるんですね。
4話くらい見たら終わりにするつもりが気づけば朝まで10話くらい見続けたこともありました。
さすがに連続だときついですね。
お腹も減りますし、腰とか首とかも痛くなるので休憩が必要です。
トイレ休憩とかも考えると、実際は連続3時間くらいでしょう。
180分ですから年齢×10分よりは短いですね。
受験生の集中力はどれくらいでしょうか。
塾では2時間くらい休憩なしでテスト・講義が続いたりしますが、切り替わりのタイミングが休憩みたいなものです。
講師も生徒が疲れてきたらちょっと雑談を入れたりすることもあります。
休憩なしだとどれくらい問題を解き続けられるかやらせてみたことがあります。
水分・糖分補給あり、トイレなしだと連続2時間~3時間が限界でした。
トイレ休憩や食休憩をはさむと最高で10時間というのがありましたが、後半は能率が下がってきます。
どこかで1時間くらい運動したり仮眠をとったりして、回復させる必要があるかと思います。
そう考えると、夏期講習や直前特訓で教室(校舎)移動があったりするのは決してマイナスではありません。
入試で午前・午後の2校受験でも、移動時間で十分に回復出来るのです。
などともっともらしいことを書いてきましたが、
果たしてそんなに長時間勉強できるようになるのでしょうか?
今回のテーマは「子どもの能力を限界まで引き出す」ことです。
ということは、限界を越えてはいけないという条件があるわけです。
つまり、30分しか集中できない子がいたとして、「もう限界!」とギブアップしたらそこで終了です。
それを続けていくと2時間くらいできるようになるのでしょうか?
多分、そうはならないと思います。
テレビドラマにしても、1話ごとに放送時間が伸びたりはしません。
視聴率が高ければ、最終話だけ2時間SPとかになります。
毎回2時間とかになると急に視聴率が下がるのではないかと思います。
テレビは15分に1回くらいCMが入りますし、1時間のうち正味45分くらいしか集中していないわけです。
これが映画館で映画を見るとなると、2時間くらいはじっと座っていなければなりません。
長い映画だと3時間とかになります。
それでも面白い映画だったらいいです。
これが退屈な映画だったら3時間はきついです。
そんなものを週に3回見ろと言われたら嫌になると思います。
そう考えたら、塾なんて毎週3~4回、2~4時間の授業を受けるわけです。
面白くなかったら最悪ですね。
結論
限界まで引きだしたところで、それ以上は伸びない。
能力を伸ばしたければ、限界を超える(引き上げる)努力が必要。
簡単に言うと、
無理しないと伸びない
ということです。
※ 限界を少し超えるくらいの負荷を掛けるという意味です。
※ 物理的限界や医学的限界を越えようとしてはいけません。
※ 個人差があります。
※ 専門家の指導のもとで行ってください。
「そんなに無理させたら可哀想」と言っている人の志望校が無理筋