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本当は怖い学校説明会3

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コース制のマジック

塾の志望校別コースのことではありません。

コース制の学校の話です。

いわゆる特進コースとか英数コースとか理数コースとかスーパー特進とかいうやつですね。

10年くらい前からでしょうか。

やたらとコース名を変更する学校が増えてきて、他の学校を意識してかやたらとコース名のインフレ化が進みました。

その結果意味がよくわからないコース名があふれかえっています。

 

特進コース

特別進学コースということですね。そもそも私立中学の生徒はほとんど大学に進学しますから進学コースなんていうものは作る必要がありません。

そこに特別という言葉をつけて、あたかも凄いところに進学できるかのようなイメージを作ろうとしたのでしょう。

つまり、国立大学や医学部ということですね。

で、特進コースというのは結構昔からある名称で、さらにその上を行こうとして次々とコース名が誕生しました。

 

英数コース

英語と数学に力を入れるコースなのでしょうか。

そもそも英語と数学は主要科目ですからどこも力を入れるのが当たり前です。

特進コースの上に位置することから、特進コースよりも力を入れているという意味なのでしょう。

実際のところ、1週間あたりの授業時間が1~2時間多いとか、より難易度の高いテキストを使用したりしているのですが、もともとの標準コースを特進コースに、特進コースを英数コースに変更しただけですから、内容的に大きな変更はありませんでした。

 

英数選抜コース

英数コースのさらにコースを作ったら、英数選抜になったということです。

 

スーパー特進

日本語にすると超特別進学ですね。特進クラスの上のクラスということですね。

 

医進コース

医学部を目指すコースのような名称ですが、必ずしもそういうわけではないです。

理系を目指していこうということです。

 

このような名称がいろいろな学校で使われていますが、結局のところ学力でコース分けしたというだけの話ですから、あまり気にしても仕方がありません。

大手塾のクラスでもハイクラスが一番下のクラス帯だったりすることもあります。

かつては一番上のクラスの名称だったのですが、時代とともに名称が変わった結果、繰り下がったということです。

つまりインフレーションですね。

 

ですから、どんなに新しいコースが出来ようが、名称が変わろうが、一番上のコースであれば内容もレベルも生徒もそれまでとほとんど変わらないわけですから、惑わされてはいけません。

 

 

 

何故コース制にするのか?

みなさんが買い物をするときのことを思い出してください。

例えば車であれば同じ車種でもいろいろなグレードがあります。

グレードの高い車ほど性能がよく、機能も充実しています。

電気製品でもブランド品でも食品でも同じことが言えます。

だったら一番いいものが欲しいと思うわけですが、良いものほど高いですからそこは予算との相談になりますね。

ところが、お金を出してでも良いものが欲しい、良いものしか買わないという人もいるわけです。

中学受験をする家庭はそうでない家庭と比べて平均収入が高いですから、比較的欲しいものを妥協せずに手に入れられる人の割合が高いかと思います。

そんな人たちの心をくすぐるのがまさにコース制なのです。

 

しかし、学費はどのコースでも基本的には同じです。

となれば、当然上のコースに入って欲しいと思うわけです。

ただし、上のコースに入るにはそれなりに高い学力が必要です。

つまり、上のコースに在籍しているということは他のコースの生徒に比べて学力が高いことの証明であり、優越感を満たしてくれるのです。

塾で上位クラスに在籍しているとか、上位コースに在籍しているのと同じですね。

 

なぜ学力別クラス編成ではなく、学力別コース編成にするのでしょうか?

入学後に多少の入れ替えをするのなら、同じことのような気もします。

そこに学校の思惑があるのです。

 

偏差値を上げる

私立中学は偏差値が高いほど人気があります。

もちろん人気が高いから偏差値も高くなるのですが、どちらが先かは決まっていません。

つまり、少しでも偏差値が高くなればそれだけ人気も上がるということなのです。

やり手の学校はちゃんとそのことをわかっていますから、何とか塾の偏差値表の数値を高くしようといろいろな手を使ってきます。

うちの学校の偏差値が低すぎると塾に文句を言ってくる学校もありました。

 

学校の偏差値を上げる方法はいくつかあるのですが、最近多いのは共学化ですね。

男子の枠を減らして、女子を新たに作れば偏差値は当然上がります。

しかし、これはリスクもあります。

もっと手っ取り早いのがコース制なのです。

 

例えば偏差値50程度でコースのない学校があったとします。

学年の半分を特進クラス、残りを標準クラスとして2つに分けるとどうなるでしょうか。

下のコースの偏差値は50のまま変わりません。

しかし、上のコースは単純に定員が半分になったと考えれば、計算上偏差値は57くらいまではね上がります。

さらに上のコースを半分に分けて、スーパーコースを作れば、偏差値は62くらいまで上がるのです。

それだけで偏差値50だった学校に付加価値がつきます。

 

例えば1つの肉の塊から、一番おいしいところだけ切り取って”特上”として売り、残りを”上”として売り、残った切れ端をかき集めてひき肉にして売るようなものです。

まさにおいしい話ですね。

 

最難関のおこぼれを狙う

そこまでして偏差値をつり上げるのはなぜかというと、最難関志望の生徒に併願校として受験して欲しいからです。

運悪く第一志望に落ちた優秀な生徒を拾うことが出来れば、6年後の大学進学実績に期待できます。

大学実績がよくなれば学校の人気が上がり、人気が上がれば偏差値が上がり、偏差値が上がればより優秀な生徒が集まり、より優秀な生徒が集まればさらに進学実績が上がります。

そして最難関校の仲間入りができれば学校としては安泰です。

少子化の時代に学校が生き残るのは簡単な話ではないのです。

 

ところが、結果が出るのに6年もかかっていたらなかなかその好循環を呼び込むことはできません。

そこでどうするかというと、コース制のマジックを使って偏差値を操作し、期待感を煽って生徒を集めようとするわけです。

まさにその現場というのが学校説明会なのです。

そこで少しでもいい生徒が集められればいい流れに乗っかることが出来るわけですから学校も本気で勝負をかけてきます。

 

そんなの詐欺じゃないのか?という人もいるかもしれませんが、詐欺ではありません。

お金だけとって商品やサービスを提供しなければ詐欺ですが、合格すれば入学できるのですから法的に問題はありません。

希望の大学に進学できるかどうかは本人の努力ですから。

もちろんコースを分けるからには学力に応じた授業が出来るように学校側も努力しています。

しかし、それに見合う生徒が集められるかどうかがポイントなのです。

正直言うと結果が出るのは6年後ですから、説明会で何を言おうが誰も細かいことなんか覚えてなんかいませんけどね。

 

夢を持たせる

コースに分かれたことによる弊害というのもあります。

もともとは中堅の学校がコースの偏差値だけつり上げたところで、けっきょくそのコースに入れなければただの中堅校でしかないということです。

つまり、「一番上のコースでなければ行っても意味がない」という意見も当然ながら出てきます。

学校としてはそれは都合が悪いので、次の手を考えてきます。

入学後に頑張ったら上のコースに上がれるという話です。

1クラス上げる学校もありますが、ふつうは若干名です。

入学までにもう一度試験をおこなってコースを変更するなんていう学校もありますが、それでは何のための入試だったかわかりませんね。

いや、わかっています。偏差値をつり上げるためです。

 

では実際にどういう生徒が上のコースに上がるのでしょうか?

成績上位者でコース変更の意思のある生徒を学校との面談で決定するなどと説明されると思います。

成績上位者になればいいのですが、入試のときに調子が悪くて回し合格になる人もいますし、ビビって下のコースで出願する人もいます。

塾の先生からすれば、何で上のコースに入れなかったの?と思うようなケースも毎年あるのです。

そういう子が入学後も真面目にやっていれば学年上位になって当然という子がコース変更できるのです。

学校は「ギリギリで入っても入学後に成績が伸びる子もいます」と言いますが、それは入試の点数や入学後の学力テストの結果だけを見て言っているのであまりあてになりません。

塾側から見れば「その子はもともと塾で上位クラスの子だから当然」と言うケースもあるのです。

入試が終わってからすぐに塾に入って先取りをしている子もいます。

学校の先生はそんなこと知らずにうちの学校に来てから伸びたと思っていますが、だとしたら伸びていない子の責任を取れよという話です。

 

それでも残念ながらコースが上がれなかった子はどうなるのでしょうか?

中2になる頃には自分の努力の足りなさに気づくか、自分の限界を思い知ります。

変なプライドさえなくなれば楽しくやっていけるでしょう。

最悪、周りに順応できずに学校をやめていく人もたまにいます。

複数日程の学校の場合、塾で下のクラスだった子が統一日に一番上のコースに合格し、上のクラスの子が後期日程で下のコースになることがよくあります。

よく考えておかなければなりません。

 

 

専願入試

専願入試とは合格したら入学を約束するものです。

などという文言が書かれていたりするわけですが、そのかわり合格点を少し下げますよということですね。

あらかじめ値段をつり上げておいて会員になると割引しますよなんていうのはよくある話ですが、第一志望の人にとってはありがたいと感じる話ですね。

併願の人は入学辞退する可能性が高いですし、多少偏差値が高くなってくれた方が学校の値打ちも上がります。

専願でも入学辞退出来る学校もあります。入学金の振り込み期限が早いので入学金を捨てる覚悟が必要と言うだけで、点数をお金で買うようなものですね。

 

併願の偏差値が高ければ学校のレベルが高いというイメージがつきます。

例えば洛南男子の偏差値を日能研の予想R4で見ると、併願は灘に次いで2番目の高さですが、専願で見ると西大和や大阪星光よりも低く出ています。

併願で出願していても、あとから専願に切り替えが出来ますから、実際に入学する人はほとんど専願なのではないでしょうか。

つまりそこが本当のレベルということなのです。

(※日能研の予想です。)

 

 

 

ちなみに上のコースに入ることさえできればハッピーエンドではありません。

中学入試の結果としてはオーライですが、やはり上のコースは学校も力を入れます。

つまり、授業時間が多い、課題が多い、難易度が高い、要求レベルが高いというのは覚悟しておかなければなりません。

中堅の学校でも、一番上のコースは最難関校に張り合っていこうとしますから、勉強もなかなかハードです。

部活が制限されることもあります。

塾で上位クラスに在籍していた子なら、そのときと同じペースで勉強していけばそれほど苦痛ではありませんし、むしろ小学校の時より楽かもしれませんが、下のクラスの子が運よく上のコースに入ってしまうとかなりきついのではないでしょうか。

上のコースを目指すのであれば、それに見合う勉強をする覚悟が必要です。

 

 

良い車に乗りたいと思うのはいいですが、単に欲しいというだけで維持費や燃費も考えず無理してローンを組んだりなんかすると返済不能に陥ったりしますよということですね。

 

 

ご利用は計画的に


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