みなさんは中学校に一体何を求めるでしょうか?
大学実績?
楽しい学校生活?
最近よく聞くキーワードに「面倒見の良さ」というのがあります。
高いお金を払って私立中学に行かせるのだから、子供がしっかり勉強するように学校が面倒を見て欲しいと思っている人は多いと思います。
もちろん学校によってそのシステムは様々ですが、学校の先生も生徒の学力を伸ばすために一生懸命努力しています。
ただ、学校の先生の言う「面倒見の良さ」とみなさんが思っている「面倒見の良さ」にかなりの食い違いが見られることがあります。
その学校に入学してしまうと、他の学校のことはあまりよくわかりません。
兄弟が違う学校に通っていたりしない限りは比較対象がないのです。
すると人によっては思っていたのと全然違うと感じることもあるかもしれません。
どうしてそんなことが起きてしまうのでしょうか?
実は学校の先生とみなさんでは視点が違うのです。
学校の先生は中1から高3までを見ています。
大学入試を考えたら当然高3が最優先、次が高2となるのは当然です。
中学受験でも小6が最優先になります。
そう考えると中学生の間というのは、小学校で言うと小1~小3に相当します。
まだ塾に通って受験勉強する必要なんかないと考える人も多いでしょう。
塾に行かせるにしても算国2科目をちょっと先取りするくらいで、それがしっかりできていたらと特に心配はないと思うはずです。
ついこの春まで高3の担任をしていた先生が、今年から中1の担当になったとしたらどうでしょうか。
18歳で十分大人っぽい生徒から、いきなり12歳のまだ子供っぽさが抜け切れてない生徒に変わるわけです。
大学受験なんてまだ6年も先の話です。
中1の間はまず学校に慣れること、中学内容をしっかり定着させておけば、あとは部活なり学校生活を楽しんでくれればいいと思うのでしょう。
塾なんか必要ないと言う気持ちもすごくよくわかります。
それよりも自分でしっかり勉強する習慣を作って欲しいということなのです。
ところがみなさんの目線は違います。
入試まであと100日ちょっと、ここで最後の追い込みをかけないといけませんから、ちょっとでも遊んでいる暇なんてないのです。
塾に対しても、子供が毎日しっかり勉強してくれるように面倒を見て欲しいと思うはずです。
塾講師でもこの時期の小6の授業をしたあとはテンションが上がってますから、そのままの状態で下の学年の授業をするともの凄く温度差を感じることがあります。
その一方で、まだまだ入試は先の話だから、そんなに焦らなくても大丈夫と思いがちです。
保護者からすればもっと厳しくして欲しいと思うこともあるでしょう。
中学生になると、当然小学生とは扱い方が変わります。
いつまでも子供扱いはしませんから、中学生になったらちゃんと自分で考えて行動することが求められます。
授業は予習をしてくるのが当たり前ですし、復習するのも当たり前です。
定期テストに向けて長期的な学習計画を立てて勉強していかないと、学年が上がるごとにきつくなっていきます。
それに対して学校がどこまで干渉するのかという話になってくるのです。
一般的に見て、中堅レベルの学校の方が生徒の管理は厳しくなります。
宿題をやってこなければ残されたり、小テストが悪ければ補習、定期テストが悪ければ追試になります。
欠点(赤点)があると進級できなくなりますから、全員合格点が取れるまで頑張らせるわけです。
学年が上がれば英数だけ学力別のクラス編成にしたり、コースをわけたりしてなるべく落ちこぼれを出さないように、かつ出来る子の足を引っ張らないように工夫しているのです。
ところが、それでも宿題をやらない子、予習復習やテスト勉強をしない子に対しては学校側はもうどうしようもありません。
最難関レベルの学校になると、「面倒見」よりも生徒の自主性を尊重します。
勉強したければ塾に行ってもいいし、自分で好きなことをやってもいいのです。
学校は生徒のレベルに合わせて難しいことをやったり、あるいは基本的なことは自習勉強に任せて、もっと学問の本質を追究したり、何をするかは各教師に任されているのです。
学校行事を生徒に自主運営させるのも、それを教師が黙って見守るのも「面倒見の良さ」だと思います。
自習したい生徒のために自習室や図書館を充実させるのも、入試に関する情報や赤本を揃えたりするのも、「面倒見の良さ」ですね。
「勉強しろ」と言われないと勉強が出来ない子にはきついかもしれません。
「面倒見の良さ」をやたらアピールする学校は難関上位校によく見られます。
一部最難関校にもあります。
生徒にひたすら課題を与えて、学習状況を管理し、授業時間は多く、夏休みは短く、その短い休み中に夏期講習までやったりします。
その分授業料は高くなりますから、それに見合うサービスを提供しようと頑張っているのかもしれません。
とにかく授業のペースも公立の2倍くらいの進度ですし、中学からの勉強はちょっとサボっているとすぐについていけなくなりますから、サボるすきを与えてはならないのです。
大学受験を意識させるのは決して学校の実績のためだけではなく、生徒の勉強のモチベーションを保つためでもあります。
そんな学校に入ると勉強が大変だという声もありますが、小学校時代に塾で上位クラスにいた子にとっては小6の時より勉強量が少なくなりますから、そこでテンションが下がってしまうこともありますが、特に苦痛を感じるということはないようです。
しかし、塾で下位クラスにいた子にとっては、下手をすると小6のときよりも勉強がきつくなるかもしれません。
中学受験が終われば楽に慣れると思っていた子にとっては騙されたという気持ちになるかもしれませんし、入試が終わってから2ヶ月遊びたおした子の学力は恐ろしく低下しますから、いきなりついていくのがきつくなるかもしれません。
中1の2学期の時点でついていけなくなると、とにかく大変ですよ。
学校の先生も一生懸命やっていますし、生徒にもかなり厳しく勉強するように言っていると思いますが、本人がやる気を失くしてしまったらもうどうしようもありません。
もうついていけないと判断されたら、転校を勧められるということにもなりかねません。
それでも本人に頑張るという意思があればいろいろアドバイスはしてくれると思います。
「塾に行け」とか言われるかもしれませんが。
学校の近くの塾を探してみると、その学校向けのクラスがあったりします。
定期テストの過去問を揃えていたり、学校の教科書やワークに合わせた補習をしてくれたりするのです。
それが無かったら、家庭教師か個別指導を探すしかありません。
中学に入ったら学校が面倒を見てくれるから安心などと思っていてはいけません。
親が面倒を見なくても自分でやるべきことをちゃんとやれるようになるところまでは親が面倒を見なければならないのです。
なるべく今のうちにそれが出来るようにしておくといいですね。
親が楽をしようとする家は、子供も楽をしようとする傾向が見られます。
もし、今通っている塾で面倒見があまり良くないと感じているとしたら、中学校はもっと面倒見が悪いと感じるでしょう。
中学生はちょうど子供から大人に切り替わる時期です。
女子はもう少し早いですが、男子は中2から中3にかけて急に成長します。
反抗期というのはまさに切り替えの時期なのです。
勉強習慣を叩きこむとしたらそれまでに、反抗期に入ったら自主性を尊重し余計な口出しをやめる、という具合に子供の成長に合わせて親も変わっていくのが理想かもしれません。
それがうまくできている家では反抗期がないんです。反抗する必要がないからですね。