中学受験というのは私立中学だけではありません。
そこで今回は国公立中学もさらっと紹介してみます。
ちなみに中学受験の大手塾ではどちらかというと国公立中学の受験はあまり推奨されていません。
というのも、受験可能なエリアが限定的、募集定員が少なく高倍率、入試問題が4教科以外に及ぶこともあり対策困難、志望者数と合格率を考えるとコースとして成立しないなどの要因があります。
そもそも国公立中学は私立中学とは目指す方向性が全く違います。
それを十分理解したうえで受験を考えましょう。
国立志望の人の何割かは国立しか受けず、なぜかそういう人は塾でも基本講座しか取らない傾向があります。
通塾日数が多いことを嫌う傾向があり、そういう人たちには土曜日のみのコースが人気です。
志望校別特訓も対象コースがないという理由で受講しない人が結構います。
というわけで、塾としても対策が取りにくいというのが正直なところだと思います。
国立中学
近畿圏にある国立中学の一覧です。
全11校ですが、中学での生徒募集は10校のみです。
募集定員は学校によって異なりますが、108~144名です。
基本的には男女同数を目指しているようです。
附属小学校のからの内部進学(連絡進学)を含みます。
その人数は年度によって変化するので、実質倍率も大きく変動します。
平均倍率は3~4倍くらいです。
【大阪府】
大阪教育大学附属池田中学校
大阪教育大学附属天王寺中学校
大阪教育大学附属平野中学校
【兵庫県】
神戸大学附属中等教育学校
兵庫教育大学附属中学校 ※併設高校なし
【京都府】
京都教育大学附属京都小中学校 ※中学での募集なし
京都教育大学附属桃山中学校
【奈良県】
奈良女子大学附属中等教育学校
奈良教育大学附属中学校 ※併設高校なし
【滋賀県】
滋賀大学教育学部附属中学校
【和歌山県】
和歌山大学教育学部附属中学校 ※併設高校なし
ここで中高一貫校について知っておきましょう。
中高一貫校には3つのタイプがあります。
・併設型中高一貫校
私立中学はほとんどこのタイプです。
中学及び高校が同じ設置者(学校法人等)によって運営されている学校で、中学から高校へは基本的に無試験で進学できます。
ただし、一部の国立中学では高校進学時にけっこう落とされます。
・連携型中高一貫校
中学と高校で設置者が異なる場合に学校間で連携が行われるタイプの中高一貫教育です。
公立中学と公立高校の連携ですね。
・中等教育学校
中高を1つの学校として中高一貫教育を行います。
6年を2年ずつ3つに区切って段階的な教育を行ったり、3年ずつで前期・後期とする学校などがあります。
高校入試はなく、全員がそのまま進学します。
近畿圏の国立中学では神大附属と奈良女子大附属が中等教育学校です。
※併設高校なしの学校について
高校はどこかを受験しなければなりません。
公立高校を目指す場合、競争の激しい附属中学内で内申点を稼ぐのは難しいです。
国立ブランド
なぜか”国立中学”というブランドにこだわる人が一定数存在します。
しかし、そのメリットやデメリットを知っておかないと入学してから後悔したり、入学できずに後悔することがあります。
国立の中学校は国立大学附属だと思っている人が多いですが、厳密には国立大学の教育学部の附属機関です。
ただし、教育大学の場合はのぞく。
したがって、高校から大学への内部進学はありません。
大学附属と言っても、大学病院みたいなものだと思ったらいいと思います。
大学病院に入院してもその大学の医学部には入れません。
教育学部の附属機関ですから、その目的は教育学部の研究や教員を目指す学生の教育のためなのです。
学校の授業はやたらと教育実習が入ります。
私立中学のように中3で高校内容の先取りなんてことはできませんから、高3になっても高3内容の授業が行われます。
つまり進度は公立高校と一緒ですね。
ただし、中等教育学校は異なります。
授業料は中学の間はかかりませんが、授業料以外の設備費や積立金は必要です。
大学合格実績はだいたい中学入試のときのレベルに比例します。
当然ながら入学時の難易度の高い学校ほど実績が良くなる傾向があります。
ただし、カリキュラム上学習の先取りができないので、現役合格率は私立に比べて低い傾向があります。
国立大学や医学部を目指している人は塾に通います。
学校行事が多いので、自分で計画的に勉強に取り組めない人ほど周りに流されて一緒に浪人することになりがちです。
受検するにあたっては居住地域や通学時間などが決められているため、わざわざ転居する人もいます。
人気の高い学校は当然難易度が高いので、大手塾でもそれなりの偏差値が取れていないと合格は難しいです。
最も人気の高い神大附属を目指す場合、最難関合格レベルの学力が必要です。
小学校の勉強だけしていてもまず合格できません。
小学校からの連絡進学者の人数によって中学の募集定員が決まります。
人数が発表されるのは連絡進学者が決定してからなので、秋ごろになります。
男子は外部受験する人が比較的多いので、中学での募集も男子の方が多くなることが多いです。
募集の少ない女子の方が難易度が高くなります。
「お金がないから国立」なんて言っている人もいますが、実際は大手塾に通い教育にかなりお金を掛けている家庭が多いです。
学費ではなくブランドで選んでいる人が多い気がします。
かつては「抽選」があったり、「音楽・図工・家庭科・体育」などの実技教科があったりした入試ですが、最近は比較的私立中学の入試に近い内容になってきています。
過去問の対策はけっこう難しいですが、4教科がA判定偏差値以上のレベルであれば合格最低点は取れると思います。
公立中高一貫校
公立中高一貫校というのがあります。
県立、府立、市立の中高一貫校です。
公立高校の附属中学という形で中高一貫校となっているものや、中等教育学校などがあります。
下記以外に人口の少ない地域で連携型の中高一貫校などが存在します。
その地域ではトップの公立高校だったりしますね。
基本的に大手塾では特別な対策をしていません。
成基学園の京都府公立中高一貫校対策練成講座くらいでしょうか。
大阪市立咲くやこの花中学校 |
大阪市立水都国際中学校 |
大阪府立富田林中学校 |
兵庫県立芦屋国際中等教育学校 |
兵庫県立大学附属中学校 |
京都市立西京高等学校附属中学校 |
京都府立園部高等学校附属中学校 |
京都府立南陽高等学校附属中学校 |
京都府立福知山高等学校附属中学校 |
京都府立洛北高等学校附属中学校 |
滋賀県立守山中学校 |
滋賀県立河瀬中学校 |
滋賀県立水口東中学校 |
奈良市立一条高校附属中学校 |
奈良県立青翔中学校 |
和歌山県立田辺中学校 |
和歌山県立日高高等学校附属中学校 |
和歌山県立向陽中学校 |
和歌山県立桐蔭中学校 |
和歌山県立古佐田丘中学校 |
まとめ
中学・高校に面倒見の良さや大学受験対策などを求める人は国公立中高一貫校に向いていません。
下手な私立に比べると校則もゆるく、自由な学校が多いです。
周りに流されず、マイペースでコツコツ勉強できるタイプならどこの学校でも大丈夫です。
高校進学が難しい学校の場合、中学3年間塾通いが必要になるかもしれません。
どうしても学費の安いところでないと困るという人は、国公立よりも私立の特待生(6年間全額免除)を狙った方が安上がりです。
神大附属、附属池田に合格できるレベルならだいたいどこの学校も特待生が取れます。
ただし、海陽の特別給費は灘上位合格レベルでないと無理です。
国立中学が不合格なら私立に行かせたいという人は私立志望の人と同じ受験勉強をしておいた方がいいと思います。
ちなみに大手塾の国立中学合格者のうちの大多数は内部進学です。
で、内部進学の人たちの多くは5年生までは比較的上位クラスに在籍しています。
附属小学校に近い特定の校舎に集まりやすいです。
6年生になると内部進学の勉強がメインになるので、塾では目立たなくなります。
附属小の生徒は全員小学校受験経験者ですから、その親もかなり意識が高い(高学歴・高収入な)人たちの集まりです。
派閥意識や選民意識が強いので、それが嫌で附属を出たがる人も一定数存在します。
※個人の感想です。