「もう偏差値の話はお腹いっぱい、それよりも偏差値を上げる方法を教えてほしい」なんて聞こえてきそうな今日この頃。
そんなわけで、偏差値を上げる方法を考えてみましょう。
どうすれば偏差値が上がるのか
偏差値を求める公式を復習してみましょう。
偏差値=(自分の得点-平均点)÷標準偏差×10+50
偏差値を上げる可能性のある要素、つまり変数は3つあります。
自分の得点、平均点、そして標準偏差の3つです。
標準偏差は問題の作成者の意図や実力によって変動します。
正答率の高い問題から低い問題まで満遍なく、バランスよく出題できれば得点分布は正規分布に近づき、標準偏差は大きめの値になると思われます。
逆に、極端に難しい問題や易しい問題が多くなれば、得点分布は平均点付近に団子状態となり、標準偏差は小さめの値となるでしょう。
そうすると、やたらと高い偏差値が出やすくなったりしますが、同時に低い偏差値も出やすくなります。
つまり、標準偏差が大きくても小さくても、結局のところ(自分の得点-平均点)の値がプラスでなければ偏差値は上がりません。
マイナスの場合は下がってしまいます。
今回は偏差値を上げることが目的ですから、標準偏差は除外して考えた方がよさそうです。
次に平均点ですが、(自分の得点-平均点)をなるべく大きくするためには平均点が下がればいいわけです。
しかし、平均点というのは一人が頑張ったところで塾生数が大きければ全く変動しないと言ってもいいくらいわずかな誤差でしかありません。
しかも、自分が頑張って点数を上げると結果的に平均点もプラスの方向にごくわずかに変動することになるので、それをどうにかしようというのは無理ですね。
周りのみんなのやる気を削ぐとか、露骨に妨害をして全体の平均点を下げてしまうという荒業も考えられますが、それでも対して効果は得られない上に、かなりのリスクを背負うことになりそうです。
というわけで、結局のところ偏差値を上げるのに有効な手段は、自分の点数を上げるという方法しかないということになります。
標準偏差の値が95%の確率で15~20に入ると仮定して、自分の得点を6点あげることに成功すれば偏差値は3~4ポイント上がるということになります。
まとめてみましょう。
母親「偏差値を上げるにはどうすればいいですか?」
講師「はい、自分の得点を上げればいいです。」
母親「そうだったんですね」
講師「納得していただけましたか?」
母親「そんなこと言われんでもわかっとるわい!」
というわけで、点数を上げる方法を考えてみましょう。
どうすれば点数は上がるのか?
まず初めに、テストの点数は誰が決めているのかを考えてみましょう。
テストの点数を決めるのは採点する先生だと思っている人がいるかもしれません。
しかし、そうではないのです。
採点者は採点基準に従って答案を採点し、その結果を集計します。
当然ながら採点者の個人的な感情は一切入りません。
最近はコンピューターで採点したりもします。
画像を読み取って、正解・不正解を判断するのです。
ということは、誰が点数を決めているかはわかりますよね?
そうです。
解答者ですね。
みなさんが正解を書けば点数が加算され、不正解や無回答だと点数は入りません。
塾はそれを機械的に、あるいは事務的に集計しているだけなのです。
ということは、テストの点数を上げるための唯一の方法は、「正解を書く」以外には考えられません。
極まれに出題ミス等で加点されることがありますが、これは受験者全員に適用されるので偏差値には全く影響しません。
平均点がずれるだけです。
まとめてみましょう。
母親「テストの点数を上げるにはどうすればいいですか?」
講師「はい、解答欄に正解を書けばいいんです。」
母親「そうだったんですね」
講師「納得していただけましたか?」
母親「そんなこと言われんでもわかっとるわい!」
本当にわかっていますか?
ものすごく当たり前のことを書きました。
「成績を上げたければ解答欄に正解を書けばいい」という絶対の真実です。
で、おそらくほとんどの人はそれを聞いたら、「そんなのわかっている」と答えるでしょう。
しかし、もしみなさんのお子さんが「わかってる!」なんて返事をしたらどう言い返しますか?
「わかっているんやったら何ででけへんねん!」なんて言いませんか?
標準語圏出身の人なら、「わかっているのならどうしてできないの?」と言います。
勉強の内容でも同じです。
「わかってる」って言うんです。
でも、テストで点数が取れない。
そう考えたら、問題は「わかっているかどうか」ではなく、「できるかどうか」なのです。
そのために練習をするのがテスト勉強ということになります。
テストで点数を取るために勉強するのであれば、解答欄に正解を書く練習が必要なのです。
字が奇麗とか汚いとか字が悲惨とか自画自賛とか図が杜撰とかいうレベルの人もいるかもしれませんが、採点者が判別可能であればOKとしましょう。
・問題を解いてみたけど間違えたので、丸付けの後で赤ペンで解答を写して宿題終了。
・わからない問題があったので、後で解説を見てそれを写して宿題終了。
こんな宿題の仕方は嫌ですね。
それで「もうわかったから大丈夫」なんて言われたら、もう生理的に無理です。
一昔前(平成時代)の大手塾ならその場でノートを投げ捨てられたりしていたかもしれません。
令和時代は「よくがんばりました。テストも頑張ろうね。」とか言われます。(知らんけど)
・問題を解き間違えたので、間違えた箇所をやり直して青ペンで丸付けして宿題終了。
少しレベルが上がりました。
何が変わったかというと、間違えた箇所をやり直した点です。
これだけでわずかに学力が上がる可能性があります。
しかし、テストのときに再び同じミスをしてしまう可能性を秘めています。
「子どもにはいろんな可能性があるんです。可能性を信じてあげてください。」
なんて奇麗ごとを言う人がいますが、可能性には良い可能性と悪い可能性があります。
悪い可能性を減らすためには疑いのある要素を絶対に見落とさないことです。
信じるというのは「思考停止」することなのです。
むやみに子どもを信じるような大人になってはいけません。
テストの本番で正解を書けるようになるためには、その練習段階で正解が書けるようにならなくてはなりません。
つまり、最初から「正解を書けるようになる」という明確な目標をもって勉強しなければならないのです。
例えば全体としては8割取れればいいと言われたとして、それは20問あったら16問は正解しましょうということです。
決して、すべての問題が8割ずつ解ける(つまり正解まであと一歩)ということではないのです。
ですから、いい加減な問題の解き方、丸付けの仕方、間違い直しをしていると、8割すら取れないのです。
・わからなかった問題は解説を理解したうえでもう一度最初から解きなおす
・間違えた問題はもう一度最初から解きなおす
・時間が掛かり過ぎた問題はもう一度最初から解きなおす
そして、
・日を改めてさらにもう一度最初から解きなおす→それでも正解できなければ↑に戻る
最低限これくらいはやらなければ高得点は取れません。
これだけやってもミスをする可能性はあります。
ですが、ミスを減らすのは次の段階です。
まずは練習の段階で時間内に正解できるようになることが重要です。
時間については単純に「テスト時間÷問題数=1問あたりに掛けられる時間」を目安にしましょう。
全問正解できる力があっても、時間内に解ききれなければやはり高得点は取れません。
公開学力テストの成績を上げる
いわゆる公開テスト、公開模試、全国模試などのテストは実力テストと呼ばれます。
つまり、復習テストのように出題される問題や細かい出題範囲が一切わからない状態で受けなければならないわけです。
塾によっては大まかな出題分野などが事前に公開されている場合もあります。
「それに対して対策をするべきかどうか」で意見が分かれたりします。
「実力を知るための実力テストなのだから、対策などせずに受けるべき」派の人はそれでいいと思います。
毎晩お酒を飲む人なら健康診断の前の日でもお酒を飲んだ方がいいですね。
本当の数値を知ることが出来るかもしれません。
※精密検査になっても自己責任でお願いします。
ですが、成績を上げたい人はそういうわけにはいきません。
「実力テストは、対策も含めて今の実力を知るべきものであり、同時にクラス替えなど資料にもなるので、これは練習ではなく勝負の場である」派ということになります。
上位クラス帯になるとみんな多かれ少なかれ実力テスト対策はやっているので、それがうまくいっているかどうかの判断をするのが実力テストということなのです。
「過去問の練習なんか無意味」と言う人もいますが、それは健康診断の前の日だけ食事を減らして運動してみるといった”一夜漬け行動”は本来の目的から大きく乖離しているという点を指摘したいのだと思います。
ですが、上位クラス帯のみなさんはそんなことは百も承知です。
そして、直前に対策したくらいではほとんど効果が得られず、過去問にしてもほとんどかすりもしないということを経験を通して熟知しています。
ですから、常日頃から毎日ペースを考えて計画的に対策をしているのです。
実力テストの出題範囲
原則として既習範囲からの出題です。
もちろん塾のテキストで習った範囲です。
これは通常テキストだけからではなく、特訓講座などのテキストレベルの内容も一部出題されます。
ということは、その対策として最も有効なのは既習範囲の総復習です。
塾のカリキュラム上、だいたい過去1年分の内容を一通り復習すれば出題範囲を網羅できると思います。
同じ分野・単元を学年が上がるたびに何度も繰り返しながらレベルを上げていく、いわゆるスパイラル(螺旋)方式というスタイルが取られているからです。
つまり、1年以上遡ると同じ分野が出てくるので、そこまで戻らなくてもいいということになります。
(算数の場合)
1年分の復習となると、授業(講義)数で45回分くらいになります。
講義1回分の問題を全部解くと30分(基本のみ)~2時間(全範囲)くらいかかると思います。
※個人差があります。単元にもよります。
平均1時間として、1教科で約45時間、3教科なら135時間、+特訓講座で約180時間くらいでしょうか。
これを1日平均1時間ずつこなしていくと約180日、半年かかります。
さすがにこれは期間が長すぎて忘れていく量の方が多くなるかもしれません。
1日平均2時間ずつなら約90日で3ヶ月です。
1日平均3時間ずつなら約60日で2ヶ月です。
これくらいのスパンで復習を繰り返すと、年間では4~6回総復習が出来る計算になります。
偏差値70台を目指すのならこれくらいは当たり前のペースですね。
しかも、復習を繰り返すたびにスピードは上がっていくので、もっと短い時間で終わるようになります。
ですが、これは学年が上がるほど量が増えてくるのできつくなります。
ですから、ある程度低学年のうちから始めておかないと高学年になってからでは無理かもしれません。
低学年のうちなら2科目ですし、1日平均1時間ずつでも余裕です。
翌年は内容がスパイラルするので楽になります。
特訓講座は次学年の先取りをしてくれるので、さらに楽に進められるようになります。
そうやって完全に仕上がった人たちに、高学年になってから追いつこうというのがいかに無謀な挑戦であるかが理解できるかと思います。
しかし、問題は勉強時間(総量)だけですから、努力すればどうにかなる可能性はあります。
もちろん、どうにもならない可能性も十分にあります。
これから頑張る人へ
頑張ってください。
というのは冷たすぎるので、まずは算数の基本問題だけ1年分を総復習(約30~50時間程度)してみるといいと思います。
これを3月いっぱいで終わらせれば4月のテストには間に合います。
今年度の復習は春期講習でもやってくれるので、普段の宿題以外に1日1~2時間程度増やすだけで誰でも出来る作業です。
4月になったら応用問題~発展問題を1年分総復習して、5月のテストに間に合わせます。
偏差値60未満の人はこれだけで5ポイントくらい上がる可能性があります。
偏差値60以上の人は最初から全範囲をやりましょう。
5月は特訓講座の総復習をします。
このレベルになると平均点によっては偏差値が上がらないこともあるので、順位を上げることを目標としましょう。
1教科成績が上がったら、同じことを他教科でも順番にやっていきます。
半年くらいかけて、3教科とも同じくらい上がるというのが目標ですね。
最初から3科目やろうと思うと、成果が出るまでに時間が掛かります。
成績の上がり方には個人差があります。
スタート時点での偏差値が低い人ほど上がりやすく、偏差値が高い人ほど上がりにくいです。
また、偏差値に応じて問題レベル、問題量、勉強量を増やしていく必要があります。
頑張っているのに成績が上がらない人
本人は一生懸命頑張っているのに、それを「頑張りが足りない」なんて言ってしまっては可哀そうですね。
その努力は決して無駄ではないと思います。
ですが、あまり報われてはいないということですね。
理由はいくつか考えられます。
・努力の方向、内容が今のレベルに適していない
・量や時間数をこなすことだけにこだわって、細部まで仕上げられていない
・本当は頑張っていない
・同じクラス帯の周りの人たちも同じように努力している
・上のクラス帯の人たちはもっと努力している
・成績が上位すぎてこれ以上偏差値が出ない
すぐに結果が出ないから、あるいは目標を達成したからと言って頑張るのをやめると成績が下がる危険性があります。
ご注意ください。
自力で総復習がうまくできない人は相談に乗ります。
すぐにメッセージください。
こだわりのシャーペン