難しい問題をスラスラ解けるようになりたいという人はけっこういると思います。
そして、その数の何倍もいるのが「難しい問題をスラスラ解けるようにしてほしい」と言う保護者です。
ですが、彼らの多くは決して自分がスラスラ解けるようになりたいとは考えていません。
だから「難しい問題がスラスラ解けるようになる方法」がわからないのではないかという有力な説があります。
そこで今回は「難しい問題がスラスラ解けるようになる方法」について考えてみましょう。
何かを考えるときに大事なのが前提条件とか定義ですね。
難しい問題とは
「難しい問題」というのはどのような問題でしょうか?
テキストに「むずかしい問題」とか書いてあれば難しい問題だと考えていいでしょう。
そうでない場合は、発展問題、チャレンジ問題、C問題などに分類される問題でしょうか?
ですが、「難しい」というのはほとんどの場合、個人の感想でしかありません。
「今回のテストは難しかった」なんてセリフをよく聞きますが、問題のすべてが難しかったわけではなくその中に難しい問題が何問かあって、それが前回に比べて多いと感じたということでしょう。
でも、実際のところ、そのセリフは点数が悪くて怒られるのを回避するための保険でしかありません。
あまり言葉通りに捉えてはいけないのです。
”難しい”問題とはどのような問題なのか、算数の場合について考えてみましょう。
いくつかに分類することが出来ます。
1.計算の難易度が高い
一般的に計算問題は桁数が多いほど難しくなります。
解くのに時間が掛かり、たくさんの計算をしなければならないからです。
さらに、分数や小数の計算が入ると難易度は上がります。
分数の約分をする場合、公約数が2桁の素数とかになると偏差値50台でも解けなくなります。
最難関レベルの学校になると、17や19の倍数なんかがよく出てきます。
□を求める計算問題は四則計算の逆算ですね。
括弧が多くなるほど難易度が上がります。
分数の割り算が入ってくるとさらに難しくなります。
2.公式や解法などの知識が必要
図形の面積、速さ、濃さなどは公式を覚えていないと解けません。
単位換算もやり方を覚えていないと解けません。
文章題もパターンがいくつかあり、”何とか算”という名前がついていると思いますが、それぞれに基本解法というのがあります。
それらをいくつか組み合わせると難易度の高い問題が出来上がります。
さらに出てくる数値の桁数を増やしたり、素数の倍数を入れたりすると難易度がさらに上がります。
問題を解くのに時間が掛かるという以前に、解法を知らなかったらそこまでです。
最難関レベルの問題になると、”必殺技”を知らないと解けないという問題が出てきたりします。
”必殺技”というのは中学・高校あたりで習う数学の公式を利用したものが多いです。
知っていたら簡単に解けるのですが、知らなかったらかなり難しいです。
3.問題文の理解に読解力が必要
問題文が長かったり、ややこしかったり、出題者の文章力に問題があるのではと疑いたくなるような問題もあります。
ですが、文章の長い問題にはいろいろな事情があるのです。
例えば、図に描いたら簡単なことをわざわざ文章だけで説明している場合もあります。
中学・高校の数学の証明問題みたいな感じですね。
小学校範囲を超える知識を必要とする問題の場合はその公式を説明しなければなりません。
「辺の長さが3:4:5の三角形は直角三角形であることを利用してよい」みたいな感じですね。
図で描いてくれたらわかりやすいのですが、あえて文章にしてくるのです。
難関レベルの学校はわざわざ図を添えて説明してくれたりします。
速さの問題とかで文章がややこしい問題がよく出てきます。
年齢算、ニュートン算、日歴算なども問題文がややこしかったりしますね。
文章を正しく理解して、情報を整理して、条件に従って解いていかなければなりません。
4.作業工程が多い
数列や場合の数の問題などで、ひたすら書き出さないと解けない問題というのが存在します。
書き出していって5個目くらいまでに正解が出てくるのは易しい問題です。
10個以内なら偏差値50台でも解けます。
20個を超えると偏差値60台でも解けなくなります。
で、あと何個か書き出すと正解だったりします。
計算間違いや数え漏れがあると絶対に正解には辿り着けません。
偏差値40台~50台の場合
考えるべきはテキストの宿題範囲の問題です。
公開テストなどの実力テストの難問は手が出ないと思います。
毎週の宿題範囲の中で難しくて手こずっている問題をどうにか解けるようにしたいところです。
偏差値60台の場合
公開テストで8割前後は取れていると思います。
となると、難しい問題は残りの3~4問ですね。
その中でも正答率5%未満とかになると難しすぎるので、10%以上の問題が解けるようになりたい目安です。
テキストなら発展レべルの問題の最後の方とか、特訓講座の発展問題のレベルになるかと思います。
偏差値70台の場合
このレベルの人が解けない問題は下手をすると塾講師でも初見では解けないレベルの問題です。
スラスラ解くとは
スラスラ解くというのはどのように解くことでしょうか?
すらすら
物事が滞りなくなめらかに進行するさま。
つまり、途中で考え込んだり、手が止まったり、何回も計算しなおしたり、図を描きなおしたりすることなく短時間で正解できるということですね。
小問1題を解くのに2分くらいを目安にと言われたりすることがあるかもしれません。
これは試験時間÷問題数を基にした時間の目安です。
ですが、実際にその時間で解くと、傍から見ていて”スラスラ”ではなく”ノロノロ”とか”ダラダラ”といった印象です。
やはり1問30秒以内(図を描いたり式を書いた上での解答までの合計時間)ですね。
答えだけなら5秒くらいでしょうか。
これは暗記科目でも同様です。(ただし、社会の歴史で漢字指定の問題はもう少し掛かります。)
というわけで、ここまでをまとめて、
「難しい問題がスラスラ解けるようになる」というのを以下のように定義します。
「宿題の範囲内で自分が難しいと感じる問題を滞りなく滑らかに30秒以内で正解できるようになる」
偏差値60以上の場合は、
「実力テストでの正答率が低い問題で自分が難しいと感じる問題を滞りなく滑らかに30秒以内で正解できるようになる」
としてもいいと思います。
コレ
さて、その方法を考えていきましょう。
スラスラ解くためにはまず問題を覚えていなければならないことには気づいていると思います。
途中で考えたり、わからなくて手が止まっているようではスラスラ解くことは不可能です。
かといって、初見でスラスラ解くなどという離れ業はかなり上級レベルにならないとできません。
その上級レベルになるためには、まず初級レベル、そして中級レベルの問題がスラスラ解けるようにならなければならないのです。
復習テストの場合、出題される問題は原則として宿題範囲からです。
上位クラスの実力問題は原則として既習範囲からの出題です。
原則を外れて例外的に出題される問題はいわゆる満点対策といって、平均点を下げたり満点が出ないようにするための無茶振りな問題なのでスラスラ解こうなどと決して思わないものとします。
そう考えたら、結局のところ、テキストの問題をある程度覚えてしまえばいいということになります。
暗記科目なら丸暗記ですね。
でも計算問題ならテキストの問題の数値替えになります。
ですから、答えを丸暗記しても意味がありません。
覚えるのは解き方です。
問題文から数値を読み取り、公式や解法に当てはめて計算できるようになることです。
それを出題される可能性のあるすべての問題について行えばいいということです。
では、どうすれば覚えられるのでしょうか?
覚えると言っても、スラスラのレベルまで上げていく必要があります。
ちょっと身近な例で考えてみましょう。
小学校に通学するときに通学路を通っていると思います。
友達と喋りながら、考え事をしながら、あるいはぼーっとしていても道に迷うことはないと思います。
それは通学路が完全に頭に入っていて、スラスラと歩けるレベルに到達しているからです。
学校に行くと教室にクラスメートがいます。
全国でみると26~30人の学級が多いです。
30人のクラスメートがいたとして、名前を知らない人がいるでしょうか?
顔を見た瞬間に名前が出てくる人が何人いますか?
それはそのクラスメートの顔と名前が完全に頭に入っていて、スラスラと答えられるレベルに達しているからです。
では、どのようにして覚えたのでしょうか?
通学路を覚えるのに地図を見たりしましたか?
クラスメートの名前を覚えるのにノートに10回ずつ書いたり、単語帳を作ったりしましたか?
さあ、ここまで書けば誰でもわかりますね。
そうです。
正解は、
「反復」です。
同じことを何度も繰り返すから覚えるのです。
わざわざ覚えようと思わなくても毎日やっていると覚えてしまいます。
それを意識して工夫すればもっと早く覚えられます。
覚えることを毎日続けている人は覚えるのがうまくなります。
そのうち1回で覚えられることが増えてくるのです。
楽譜を渡しただけでピアノを初見で弾いてしまう子がいたりします。
あるいは1回聞いただけで覚えてしまうという子もいたりします。
どうしてそんなことが出来るのかと思うかもしれません。
ですが、小6にしてすでにピアノ歴9年、練習時間が延べ数千時間と言われたら納得できると思います。
じゃあコンクールの課題曲とかも練習しなくても弾けるの?
いや、練習せずにコンクールに出る人なんていないと思います。
難しい問題を初見でスラスラ解いてしまう子がいたりします。
では、テスト前に勉強していないのでしょうか?
「特に何もしていない」なんて言う人もいます。
それは「テスト前だからと言って特別なことは何もしない」という意味です。
なぜなら、普段からテスト対策になるような勉強をしているからなのです。
「そんなに勉強していない」と言いますが、勉強時間で言うと5~6時間くらいのことをそのように表現します。
何をそんなにやるのでしょうか?
それは、
「反復」です。
最後に
反復練習をするだけで難しい問題がスラスラ解けるようになります。
ですが、なかなかそれが出来るようにはなりません。
最初の壁が超えられないのです。
反復するためには、少なくとも1回は解けるようにならないといけないからです。
腕立て伏せや懸垂が出来ない人は1回目が出来ないのです。
1回できるようにさえなれば、休憩を挟みながら何度も繰り返していくうちに何回も出来るようになります。
最初の1回がきついんです。
そこで補助をつけます。
塾の授業がそれなのです。
授業で解き方を教えて解いてやらせてみせ、褒めてやっても人は動かじ。
それでも家で宿題をやりましょう。
テキストの問題なら、解説を見ながら解いても構いません。
何回やり直してもいいので、1回は自力で解けるようにしましょう。
あとはスラスラ出来るまで反復です。
※個人差があります。出来るようになるまでに時間が掛かる場合があります。
下位クラスの人が難しくてできないという応用レベルの問題でも、学年が上がると基本問題に降りてきます。
6年の場合は今やってる応用問題が9月以降には基本問題に降りてきます。
下位クラスでもみんな出来るようになります。
単純に反復回数の問題なのです。
マンツーマンでの補助が必要な方は御相談下さい。
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