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最難関志望の人がやってはいけないこと パート1

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中学受験を考える人の半数以上が夢見る最難関校ですが、実際に入学できるのは受験人口の約10%にしかすぎません。

そして最難関校の合格者のほとんどは大手塾に通っている受験生です。

大手塾に通う受験生は近畿圏で1万人を超えると思われます。

そのうち、最難関校に入学できるのは15%前後だと推測されます。

つまり、大手塾全体で見た場合、だいたい偏差値60前後がボーダーということになります。

ただし、生徒の学力分布やその平均値は塾によって差がありますので、実際の塾の偏差値表の数値は多少前後すると思います。

 

ここでは1つの目安として、偏差値60以上⇒最難関レベルと考えることにします。

男子は洛星、女子は四天王寺英数あたりがギリギリ最難関ラインになります。

 

 

 

  志望校A判定偏差値を目指してはいけない

 

最難関校を目指す人にとって、志望校のA判定偏差値(日能研ならR4偏差値)が一つの目安になっているかと思います。

で、それを目標に頑張っているという人もけっこういると思います。

 

しかし、A判定偏差値を目指した人の多くが受験に失敗しているという現実を知ってさえいれば、多少なりとも回避できるかもしれないのです。

 

 

A判定偏差値の仕組み

 

多くの塾ではA判定偏差値を80%合格ラインとしています。

そこで、A判定偏差値さえ取れれば80%の確率で合格できると思っている人が多いのです。

 

例えばある学校のA判定偏差値が60だったとします。

これは、偏差値60以上の受験生の約80%が合格したということであり、その塾の前年度のデータに基づいて算出された偏差値ですから間違いないでしょう。

(多少の誤差は許容します)

 

ですが、受験する生徒がみんな偏差値60というわけではなく、中には偏差値65とか偏差値70という人もいますし、偏差値55という人もいます。

もちろんもっと低い人もいます。

A判定偏差値が60だとすると、偏差値60未満の受験生は除いて、偏差値60以上の受験生のうち80%が合格したということになります。

つまり、20%は不合格だったわけです。

問題はその分布です。

 

偏差値60の人、偏差値65の人、偏差値70の人がそれぞれ受験したとして、みんな同じ合格率80%だと思いますか?

当然、偏差値が高い人ほど合格率が高くなるのはわかると思います。

ですが、偏差値60以上の受験生全員の平均を取ると合格率が80%になるということなのです。

ということは、偏差値60前後の人の合格率は80%をかなり下回ることになることも理解できると思います。

 

実際の合格率は塾の講師なら経験的に知っていますし、内部資料を基に計算すれば正確な値も出ると思います。

ざっくり言うと、A判定偏差値ギリギリだとだいたい50~60%くらいの合格率だと思っていいでしょう。

受ける学校によって、あるいは年度によって、塾によっても異なりますので、およその値です。

 

つまり、A判定偏差値ギリギリというのは本当に崖っぷちなのです。

 

電車に例えると、駅のホームの端から体が半分はみ出した状態で立っていると思って下さい。

バランスを崩すとホームから転落します。

このまま電車が入ってきたらかなり高い確率で大変な事故になります。

線路からやっとの思いでホーム這い上がってきた人が、「はあ、よかった」なんて言ってその場に立ち止まっていると運命に身を委ねることになります。

 

偏差値がA判定偏差値を1~2ポイント上回ると、合格可能性が80%に近づきます。

とはいえ、まだホームの白線の内側ではありません。

ちょっと躓いたりしたときに、倒れた方向が悪かったら命取りです。

 

A判定偏差値を2~3ポイント上回ると、ようやく白線の内側ですね。

そこならよっぽど後ろから押されたりしない限りは安全ですね。

 

 

上位合格者でA判定偏差値を目指している人は一人もいないという現実

 

これってちょっと考えたら誰でもわかると思います。

A判定偏差値60の学校なら、だいたい偏差値65くらいあれば学年でも平均より上くらいに来ると思います。

そんな人たちを上位合格者(合格者平均より上という程度)と考えましょう。

そういう人たちは6年生になった時点ですでにA判定偏差値を軽く上回っているわけです。

 

で、例えば偏差値65を取っている人が次回の目標を「偏差値60」にしますか?っていう話です。

A判定偏差値を目標にしたら成績が下がってしまいます。

塾ではそういう気の緩みが一番怖いとか言われますね。

ですから、誰もA判定偏差値なんか目標にしないのです。

 

崖の上の安全な場所にいる人は誰も危険な崖っぷちなんかに行きたいとは思っていないのです。

ですが、崖の下にいる人は違います。

とりあえず崖っぷちまで這い上がればいいと思っているわけです。

 

ここで大きな意識の差が生まれるのです。

 

 

自分の偏差値がわかっていない

 

「よかった。ギリギリ偏差値60取れた。」と安心している人をたまに見かけます。

きっとその人は「これで合格可能性80%」だと思っているのでしょう。

しかし、そんなこと以前にもっと大事なことに気づいていません。

 

「今回やっと偏差値60取れました。」という人の偏差値はだいたい60未満なのです。

 

というのも、塾の偏差値表の偏差値は前年度の塾生の偏差値を基に計算しているのですが、それは6年後半の数ヶ月分の平均値が基になっているのです。

だいたい6年生の9月~12月の実力テストの平均偏差値が用いられます。

 

つまり、今月が偏差値60でも、前回が59、前々回が58だったとすると、その平均値は59になります。

A判定に1ポイント届いていないわけですね。

それをB判定とも言います。

合格可能性は30~40%くらいまで下がります。

 

崖っぷちにとりあえず手を掛けてぶら下がっている状態ですね。

これが駅のホームだったら電車が来ないことを祈るだけです。

 

 

偏差値1ポイントの差

 

偏差値1ポイントの差ってそんなに大きく見えませんね。

誤差みたいな気もします。

 

しかし、これをテストの素点で考えると、3科で5~6点の差になります。

実質倍率2倍前後の入試では合格ライン付近の人数が最も多くなり、受験者数の多い学校だと1点で10人くらい並びます。

5~6点差なら50~60人くらいになります。

つまり、偏差値1ポイント足りないということは、自分の上に50~60人くらいいるということなのです。

塾で考えたら2クラス分くらいの人数ですね。

 

それを「惜しい」と考えるのは個人の感想ですが、

崖に例えると崖っぷちから体が完全にはみ出しているのに自分はまだそのことに気づいていない状態ですね。

昔のワーナーのアニメみたいな感じです。

 

 

 

 

 

  志望校別コース受講基準を目指してはいけない

 

春期講習の受講基準は比較的緩かったと思います。

ですが、夏期講習から少し基準が上がってきます。

5月~6月で受講資格を取らないと、最難関コースを受講できなくなると焦っている人もいるかと思います。

 

ですが、最難関コースの受講資格は最も入りやすい最難関校のA判定偏差値より低く設定されています。

どのような基準を設定するかは塾の考え方にもよります。

合格率の高い塾ほどその基準も高くなると思って間違いないです。

 

当然ながらA判定偏差値をクリアしている人からすれば、コースの受講基準なんて目指してはいけないレベルだとわかっていると思います。

しかし、そこに届いていない人からすれば、受講基準をクリアすることで「夢に向かう列車の乗車券」が手に入ると思っているのです。

とりあえず列車に乗ることさえできれば、いつか無料で機械の体が貰える星に行けると信じていたりします。

 

ですが、最難関は言うなれば超特急ですよ。

乗車券以外に特急券も必要なのです。

それがA判定偏差値です。

しかし、最難関でも上位の学校になると全車指定席なので、特急料金だけではなく指定席料金も必要です。

しかも事前に予約しておかなければ乗ることが出来ません。

灘とか洛南女子、西大和女子レベルになるとグリーン車です。

さらにグリーン料金も必要になります。

 

その上でさらに席順を競っていかなければならないのです。

 

乗車券もまだの人は急いだ方がいいのはもちろんですが、乗車券だけだと超特急には乗ることはできないのです。

 

 

  塾の先生のアドバイス

 

塾の先生のアドバイスというのは、基本的に今その子にとって必要なことをアドバイスします。

ですから、資格が取れていない人にはまず資格を取れるように頑張れと言います。

でも、それって本質的な問題を先送りしているだけなのです。

 

確かに資格も取れていない人にA判定を取れと言っても難しいですし、A判定より2~3ポイント上を取れなんてもっと難しいと思います。

 

そこまで先のことを考えさせようとすると、多くの人はそこで夢を諦めてしまいます。

頑張ったとしてもほとんどの人が夢に破れることになるのですが、ギリギリまで頑張った人の方が併願校の合格実績が良くなる傾向があるので、塾としてはなるべくモチベーションを維持させたいのです。

つまり、だましだまし頑張らせていくというのが基本的なスタンスになるかと思います。

 

で、とりあえず目の前の目標に到達した人には「ここからが本当の勝負」などと言って、次の目標を告げるのです。

安全圏に入った人にも「油断大敵」と諭しながらさらなる努力を続けさせます。

 

そんなのずるいとか、商売だからだとか言う人もいますが、それではみなさんはお子さんに真実を告げていますか?

中学に入っても勉強は終わりではなく、そこから6年間、今度は大学受験に向けて頑張り続けなければならないという真実です。

中学受験が終わってのんびりしていると、中学が始まった瞬間に取り残されてしまう危険性もあるという真実です。

輝かしい大学合格実績も、結局は学年上位でないと全く届かないという真実です。

 

 

 

  チャンスは今?

 

まだ4月です。

受験生が本気で頑張り始めるのはたぶん夏休みに入ってからです。

最難関志望の人たちはそこからほぼ休みなく入試まで全力疾走するので、その時点で追いつこうと思っても難しいです。

そう考えたら、今から夏休みまでの約3ヶ月が追いつき、追い越すための唯一のチャンスなのです。

 

チャンスは後になるほど少なくなっていきます。

 

だから最難関志望の人は低学年のうちから動いているのです。

出遅れたと思った人はこれが最後のチャンスかもしれません。

 

 

 

でも、志望校さえ下げればチャンスは広がりますよ。

たぶん。

 

 

 

 

 


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