「速さ」が苦手だという人は多いと思います。
旅人算、ダイヤグラム、通過算、時計算、流水算などがありますが、入試でも必ず出題される分野ですね。
ですが、今回はその「速さ」の問題ではありません。
そんなのは些細な問題だと言ってもいいでしょう。
問題です。
1.テストで時間がなくて最後の方の問題が解けなかった。
2.見直しをする時間がなくてミスをした。
3.宿題を2回目までやっている時間がない。
4.間違い直しをしている時間もない。
5.公開テストに向けて復習をする時間がない。
6.とにかく時間が全然足りない。
そんな問題を抱えている人がいると思います。
で、多くの人はそれを「時間」の問題だと思っているのです。
だからいつまで経っても解決できないのかもしれません。
それは「速さ」の問題なのです。
速さ
速さの3公式くらいはみんな覚えていると思います。
・速さ=距離÷時間
・距離=速さ×時間
・時間=距離÷速さ
ですね。
ここに出てくるのは速さ・距離・時間の3つの要素ですが、勉強する上で距離はあまり関係ないので、距離のかわりに「問題数」(問題量)を考えます。
つまり、
・時間
・問題
・速さ
の3要素が学力に大きく関わってくるのです。
時間の問題
「時間が足りない」と言っている人は、時間さえあればもっと成績が取れると思っています。
成績が取れないのは時間が足りないからだと。
それって、「お金さえあればもっと幸せになれる」というのと同じ理屈です。
お金を持っている人はそんなことは言いません。
お金がない人が言うのです。
そんな人たちがいつまで経っても幸せになれないのは「お金がないから」だというわけです。
「だったら稼げばいいのに」なんて正論を言ってはいけません。
それができないからお金がないのです。
時間があればもっと成績が取れるという人も一緒です。
時間がないのです。
しかし、よく考えてみてください。
1日は24時間です。
これはみんな同じ条件です。
小学生であればみんな平日は学校に行きます。
夕方からは塾に行きます。
通学時間、通塾時間に多少の差はありますが、そんなに何時間もかかるわけではないと思います。
みんなほぼ同じくらいの時間はあると考えるべきでしょう。
つまり、ここで「時間」は定数なのです。
勉強時間が少ない人や、まだ十分に余裕がある人なら勉強時間を増やすことで成績は上がります。
ですが、十分に勉強している人にとってはこれ以上時間を増やすことはできないわけです。
となると、成績を上げるためには残る2つの要素(速さ、問題)をどうにかするしかないわけです。
時間だけが問題だと思っている人は限界を迎えます。
成績が下がってくるのも時間の問題です。
問題の問題
勉強時間がかなり限界まで近づいている人がやりがちなのが、「問題の問題」です。
つまり、時間内に全部終わらせることができないので、問題量を調節しようとするわけです。
「捨て問」
これは塾でもおススメの対策法の一つです。
テスト時間が足りなくなったら、難しい問題や正答率の低い問題を捨てて、それ以外の問題に力を注ぐというテクニックです。
問題を捨てることによって時間の余裕ができるので、その分見直しに力を入れることができるという理屈です。
しかし、問題を捨てるということは、つまり、点数を捨てるということです。
その代わりに時間を手に入れるという捨て身の手段なのです。
30分で20問のテストだと、1問あたり1分30秒で解かなければなりません。
1問解くのに2分かかる人なら15問しか解けません。
そこで、難しそうな5問を捨てて、残りの15問にすべてを掛けるというわけです。
1問5点なら5問で25点になります。
それを捨てて、7分30秒を手に入れるわけです。
それがうまくいけば75点取れるはずですが、なかなか思い通りにはなりません。
公開テストなら1問あたり2分くらいになります。
5問捨てると10分手に入りますが、20~25点分を最初から捨てているので80点以上取ることはできません。
公開テストで80点以上取ると偏差値60くらいにはなりますが、それを捨ててしまっているわけですね。
偏差値50未満の人ならその作戦で十分ですが、もし最難関を目指しているのならその可能性を捨ててしまっているのです。
「宿題」
宿題も全部やっている時間がないので、難しい問題を飛ばすという人がいます。
塾でも、「わからない問題は飛ばしていい」なんて言うことがあります。
偏差値50未満の人の場合、わからない問題に時間をかけすぎて2回目もできないくらいなら、わかる問題だけでもやり込んだ方が成績が上がる可能性があります。
これも最難関志望の人にとって絶対にやってはいけないことだというのはわかると思います。
問題を削って時間内に終わらせることを優先したところでやはり限界はあります。
最難関の壁は超えられないと考えた方がいいかもしれません。
結局のところ問題を全部やっていないのですから、塾が想定している学力には到達しないのです。
削った量はわずかだとしても、その結果として目標偏差値にわずかに届かないのであれば、その方法では難しいと考えるべきでしょう。
速さの問題
というわけで、最終的に辿り着くのが「速さ」なのです。
ここでは、単位時間あたりに解く(正解する)問題の数が「速さ」の定義です。
・時間には限りがある ⇒ 定数
・問題数(テスト、宿題)が決まっている ⇒ 定数
となれば、学力を上げるためには速度を上げるしかないのです。
それをいくら説明しても納得できない人もいるかと思います。
速くやるとミスをする、字が汚くなる、雑になる、手抜きをするなどと言い訳を並べます。
でも、成績を上げたいのであればもう少し考えて欲しいのです。
成績っていったいどのように決まるのでしょう?
塾の成績はテストの点数で決まりますよね?
塾のテストには制限時間があります。
問題数も毎回ほぼ同じですね。
全体の平均点が偏差値50になるわけですから、とにかく高い点数を取らなければならないわけです。
つまり、偏差値(学力)とは制限時間内にどれだけ得点できるかということなのです。
納得できましたか?
成績=「制限時間内にどれだけ得点するか」
速さ=単位時間あたりに正解する数
とすると、
成績=速さ
なのです。
クラス帯別の速さ
私が大手塾に勤務していたころ、10年ほどの間に約3000人くらいの生徒を見てきました。
授業中の様子、テスト中の様子、テストの点数、成績表、クラス別の平均点などを見てきたわけですが、やはり上位クラスになるほど「速い」のです。
問題を解く速度だけではありません。
ノートを書く速度、授業の準備をする速度、片付ける速度、しゃべる速度、ありとあらゆる行動が速いのです。
偏差値40台と50台で比べても倍くらい違います。
偏差値40台は宿題をやるのに1~2時間かかります。
偏差値50台になると宿題範囲は多くなるのですが、それでも1時間くらいで終わらせてしまいます。
問題を解く速度が平均すると2倍くらい速いと思います。
偏差値60台になるとさらに早くなります。
宿題範囲は基礎・応用・発展と一番下のクラスの2~3倍の量になりますが、それを30分くらいで終わらせてしまいます。
単純計算で偏差値40台の子の4倍くらいの速さになります。
それだけのスピードが出せないと、宿題が終わらないのです。
しかも2回目、3回目もやっています。
前回のテストの復習もやっています。
さらに特訓講座も受講しているので宿題量はさらに倍になります。
そう考えたら、クラスを上げたい、成績を上げたいというのであれば、問題を解く速度を上げていかなければならないのです。
問題を解く速度を上げるには、やることすべての速度を上げる、つまりベースクロックを上げなければならないのです。
パソコンの性能はCPUのクロックで決まります。
1秒間にどれだけの計算ができるかということです。
まとめ
「成績=速さ」
新年度に向けて生徒募集中です。
6年生は応相談です。
Web授業にも対応しています。
興味がある方はメッセージください。