最短距離の問題というのは単純に2点を直線で結びます。
反射の問題であれば線対称となる位置に像を置いて直線で結べばいいのです。
しかし、中学入試はそう単純には行きません。
200人の合格者がいれば200通りの合格のしかたがあるなどと言われます。
ということは場合の数になるわけです。
その中で最短経路となるものを見つけて、それをトレースすればそれが最短距離ということになります。
果たしてその戦略が正しいのかどうかは別として、最短経路というものを考えてみましょう。
極論
いきなり極論から考えてみましょう。
入試というのは1回の試験で決まります。
2日入試のところもあれば、前期後期と複数日程のところもありますが、それぞれ全科目の合計点で合否がきまります。
合格最低点以上を取れれば合格です。
だいたい6割くらいのところが多いので、ここでは6割取れれば合格と考えましょう。
入試が100点満点なら60点を取ればいいわけですから、最低60点取れるだけの勉強量が最短経路であると考えることが出来ます。
方法A
条件①入試問題を予想し100%的中させる。
条件②なお且つ、その60%を正解するだけの勉強をする。
方法B
条件①入試問題を60%的中させる。
条件②なお且つ、その100%を正解するだけの勉強をする。
さて、この2つの方法を検討してみましょう。
まず方法Aですが、最大の問題となるのは条件①です。
入試問題を100%的中させることというのは、試験の前にその入試問題を手に入れるのと同じくらい難しいのです。
しかし、方法がないわけではありません。
宝くじ必勝法、競馬必勝法などと同じ手が使えます。
入試に出題される範囲は広いとはいっても有限なので、全分野の全単元を網羅することで的中させることが可能です。
つまり、宝くじなら1ユニットに必ず1枚1等が出ます。グリーンジャンボなら
1ユニット1000万枚×1枚300円=30億円かければ14億6千万しか戻ってきませんが(組違い賞を除いたもの)確実に1等を取ることが出来ます。
競馬なら18頭立てで3連単が18×17×16=4896通りですから、全部買えば489600円になります。
でも必ず的中させることができます。
もしこれで配当金が489600円を越えれば勝ち越せるのです。
というわけで、もの凄くコストと手間のかかる必勝法になってしまいます。
的中と言っても数値まで全てではなく、出題範囲と問題パターンまで的中させればいいということにしましょう。
そのかわり、その問題を60%確実に正解できるようにするということで。
それをやろうと思ったら、主だった大手塾のテキスト全種類+各種市販問題集+対象レベルの赤本各校6年分(最難関20年分)、ネットオークションなどをフルに活用して、入手可能な教材をすべて集めて、それらをすべてやればいいのではないでしょうか。
あとは時間の問題ですね。
ただでさえ宿題が回らないと言っている人が、その少なくとも数倍となる量の勉強をどうやってするのかということになります。
方法Bはどうでしょうか?
方法Aに比べたらかかるコストは大幅に減らせます。
大手塾テキスト(通常テキスト+特訓テキスト+志望校別テキスト)+過去問1校分(最大20年)程度で入試問題の60%はカバーできると思います。
問題はそれを100%正解することです。
これは塾のテストをすべて満点とるのと同じことだと考えてみてください。
かなりハードルが高いかと思います。
量は少なくなりますが、満点を取ろうと思ったら問題がすべて完璧に解けるまで何度も反復しなければなりません。
そこで方法Cを考えてみましょう。
この手の最大値・最小値問題というのはだいたい平方数になるところが答えです。
つまり、
①入試問題を80%的中させる。
②なお且つ、それを80%正解するだけの勉強をする。
という条件にしてみましょう。
結果的に0.8×0.8=0.64=64%ですから6割は越えます。
大手塾の勧める講座をすべて受講、イベント等にフル参加、よく使われている市販教材、志望校及び併願校の赤本6年分(算数・理科20年分)あたりを揃えれば入試範囲の8割近くはカバーできるのではないかと思います。
あとはそれを80%取れるように何回かやり込んでいくということですね。
と、ここまで書いてふと思ったんですが、これって最難関志望の人(合格する人)が普通にやっている勉強法なんですよね。
塾もそういうコンセプトで講座を設置し、テキストを作成しているわけですよ。
ただ、最難関レベルを目指そうと思ったら、それ1から全部こなすのに最低でも3~4年くらいはかかる計算になります。
遅い人なら5~6年かかります。
それがうまく出来ている塾は合格者数が多い、もしくは合格率が高いということになるのではないでしょうか。