学校選び第三弾です。
学校の選び方の1つの基準として”大学進学実績”というのが挙げられます。
もちろん、通学のしやすさとか、校風とか、偏差値というのもあるのですが、併願校を選ぶ段階で困ったときは”大学進学実績”なんて考える人はけっこう多いと思います。
大学進学実績
ほとんどの学校では大学進学実績というのをWebで公開しています。
逆に公開していないところというと神戸女学院が有名ですね。
もし実績を公開していたらもっと人気が出て、偏差値が高くなっているでしょう。
ですが、学校の方針(宗教上の理念)に基づいて非公開としているのです。
そのため、進学実績で神戸女学院を志望する人は少なく、どちらかというとその校風で選ぶ人が多いのではないでしょうか。
その反対に、大学進学実績を売りにしている学校も多くみられます。
特に目立つのが難関レベルで比較的上位の学校です。
偏差値で言うと50後半くらいでしょうか。
もちろん実績をアピールする理由は、最難関志望者に併願校として考えて欲しいからですね。
つまり、「併願校はとにかく進学実績がいいところがいい」なんて考えている保護者がターゲットです。
一般的に大学進学実績は偏差値の高い人気の大学の合格実績しか載せていません。
特に東大・京大以外は学部別の合格者も出さないところがほとんどです。
医学部合格者が多い学校は医学部進学実績なんかを載せています。
メインは国公立大学で、私立大学は近畿圏の関関同立、早慶MARCHあたり。
あとはその学校のレベルにもよります。
これは世間一般の評価の対象が、
医学部>東大>京大>国公立大学>私立難関大学
となっているからでしょう。
どこまでをどのように公表しているかで、その学校のターゲット層がわかります。
国公立大学合格率
将来は国公立大学に行って欲しいと考える家庭は多いと思います。
理由は知名度、学費の安さ、就職などだと思います。
でも、みなさんが行かせたいのは本当に国公立大学ですか?
国立大学ではありませんか?
国公立大学というのは、国立大学+公立大学のことです。
公立大学とは、県立大学、府立大学、市立大学などを指します。
国立大学の中でも、自宅通学を考えたら数は絞られてしまいます。
例えば大阪在住なら京都大学、大阪大学、神戸大学、大阪教育大学、京都教育大学、京都工芸繊維大学、奈良教育大学あたりでしょうか。
人気のある大学ほど偏差値が高くなります。
もし行きたい大学が決まっているのなら、その大学にどれくらい合格者をだしているかというのが気になるところですね。
国公立大学の合格率が高い学校というのがあります。
難関上位レベルくらいになると、50~60%が国公立大学に合格しているという学校が増えてきます。
しかし、気を付けなければならないことがあります。
それは「国公立大学」というキーワードです。
もし、志望校や併願校として考えている学校があるのなら、その学校の進学実績をよく見てください。
いくら合格実績がよくても、合格している大学が自宅通学不可能な地方国公立大学ばかりの学校に入学したら、その中のどこかの大学に進学する可能性が高いということです。
せっかく学費が安くても、下宿代とかを考えるとけっこう微妙な金額になるかもしれません。
四国地方くらいならまだ近いですが、九州地方や東北地方なんかだと気軽に帰宅もできませんね。
就職に関しては大学のある地元で就職するなら有利なことも多いですが、近畿圏に戻って就職となると地方国公立は必ずしも高評価とはなりません。
もちろん大学のランクにもよりますし、職業にもよると思います。
以前、とある中学校の学校説明会に行ったときの話ですが、やはり国公立大学合格実績の話が出てきました。
「国公立大学合格率が60%以上でした」という学校の先生の説明に会場がどよめきました。
さらに学校の先生は話を続けます。
「そのうちの約60%が現役合格でした」
またしても会場に「おお!」という声が響きます。
60%ということは、学年で平均が取れていれば十分合格できるという計算になります。
で、平均というのは誰でも普通に頑張っていたら取れそうな気がする不思議な立ち位置です。
この学校に入って普通に頑張っていたら国公立大学に現役合格できるだろうと考えてしまうわけですね。
でも、ちょっと待ってください。
国公立大学合格率60%のうち現役60%ということは国公立大学現役合格率36%ですよ。
学年上位3分の1くらいに入っていないと、現役合格はできないということなのです。
しかも、どこに合格できるかはわかりません。
進学実績一覧に載っている国公立大学の中からランダムに選んだ1つと考えてもいいかもしれません。
当然ながら人気の国立大学は学年上位から数えて合格者数くらいの順位に入っていないと難しいでしょう。
説明会を聞くまではそれほど行きたいとは思っていなかった学校が、説明会のあとでは行きたい学校の1つになったという人もいるかもしれません。
つまり、説明会を聞いただけでみなさんの認識や考え方が大きく変わったということです。
それを一般的には洗脳といいます。
学校の先生の営業トークが一流だったということですね。
そういう学校は年々実績が上がってきます。
でも、入試担当が変わるとガラッと雰囲気が変わったりもします。
みなさんは冷静に判断してください。
塾は要りません
説明会でよく耳にするセリフですね。
「うちの学校のカリキュラムをしっかりやっていれば塾は必要ありません」と。
でも、実際に入学してみるとけっこう塾に通っている生徒が多かったりします。
鉄緑会とか研伸館は多いですね。
例えば、鉄緑会大阪校のWebサイトを見ると学校別の在籍者数が載っています。
一番多いのが洛南478名、次いで灘329名、神戸女学院285名・・・、となっています。
そんな中にもしかしたら志望校があって、学校説明会で「塾は不要」とかいう話を聞くかもしれません。
学校はもちろん塾が必要なんてことは口が裂けても言いません。
実際に塾に通わずにどこかの大学に合格している子もいるので、それを根拠に「不要」と断言できるのです。
塾に行かなくていいとか言いながら、学校に予備校の先生を呼んで講習をやっている学校もあります。
確かにわざわざ塾に通う必要はないので、嘘をついているわけではないと思います。
でも、受講しようと思ったら成績順の申し込みだったりします。
さらに言うと塾が必要ないのはちゃんと学校の授業についてきている生徒のことで、学年底辺レベルともなると懇談のときに塾に通うか家庭教師をつけろと言われます。
つまり、「学校では何もしてやれない」ということです。
確率の問題ではない
進学実績で学校を選ぶ人の中には、ちゃんとそういうことがわかっている人も多いと思います。
合格率60%というのは100人中60人が合格できるという意味です。
しかし、それは実際には100人中”上位”60人だったりします。
確率というとサイコロを思い出すと思います。
サイコロの1の目が出る確率は6分の1です。
しかし、それはサイコロの目が1~6まであって、すべての面が当確率で出るという条件付きです。
学校の生徒が全員同じ偏差値で、100人が同じ国立大学を受けてそのうち60%が偶然合格するということではないのです。
学校の実績は統計です。
今年の国公立大学合格者数を生徒数で割ったものが国公立大学合格率です。
ですが、それは6年前に入学した学年の話で、みなさんが入学してから6年後の数字を予想するものではありません。
学校の先生も6年後に同じ結果が出せるとは一言も言っていないはずです。
この学校に入学したら60%の確率で合格できると思っている人がいたとしたら、それは勘違いさせられているのです。
学校からすれば、それで一人でも優秀な生徒が入ってきて6年後の実績が増えれば大成功です。
みなさんが今通っている塾にも合格実績というのがあります。
おそらく入塾のときにその数字を見て考えたのではないでしょうか。
で、実際に通ってみてどうですか?
その合格実績の中に入れそうですか?
仮に今年の合格率が100%の塾(コース)があったとしましょう。
そこに入ったら100%合格できると思いますか?
ひょっとしたらあなたが入ることで、合格率を下げてしまうかもしれませんよ。
まとめ
大事なのは学校の進学実績ではなく、みなさんがどこの大学に行きたいか、そしてどこの大学に行くかという問題です。
将来医者になりたいという人は、どこの大学かということよりも「医学部」ということが大事ですね。
先のことを考えるのであれば、あまり学校選びにこだわり過ぎない方がいいかもしれません。
進学実績などという数字には惑わされず、「国立大学を目指す人が集まる場所」として最難関校を目指すという人もいるかもしれません。
つまり、環境を選ぶという考え方ですね。
でも、本当にそう思うなら「国立大学を目指す人がもっと集まる場所」に行く方が環境としてはいいですよね?
例えば、医学部合格者、東大合格者が一番集まる場所はどこですか?
それに気づいている人はみんなそこに集まってきますよ。
コロナで学校が休みになったらコレ!(標準編)