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成績さえよければどこでも好きな学校に行けるというのは嘘だったのか?

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中学受験をする家庭で親が子供に言うセリフベスト10には入りそうなセリフです。
「成績さえよければどこでも好きな学校に行ける」
だから頑張って勉強しようね、ということなのですが、どうもうまく子供には伝わりません。
いったいどこに問題があるのでしょうか?
やる気とか家庭環境以前に、ひょっとしたらこのセリフ自体に何か問題点が隠れているのではないかとふと思ったので考えてみることにしました。
 
成績さえよければ好きな学校に行けるというのは、つまり偏差値さえ取れていればどの学校にも合格できるということですね。
最難関志望の男子ならここですかさず「じゃあ神戸女学院も行ける?」などとボケてきます。
「それは無理やろ!」とつっこむところをあえて「行けるよ!」と返すと、
「どうやって?」とびっくりした顔をします。
「門戸厄神から徒歩15分」
「そんなんずるいわ」
「灘も行けるで。住吉から徒歩10分」
「もうええわ」
 
そういうボケは抜きにして、理論上偏差値さえ取れていればどこの学校でも行きたいと思ったら合格できるわけですが、実際はそうはなりません。
それを検証してみましょう。
 
最近は結婚式の引き出物や葬式の香典返しにカタログを貰うことが多くなりました。
新郎新婦の顔写真の入ったお皿なんて貰ってもしかたないですから。
で、そのカタログの中から1つだけ好きな商品を選んでくださいということになるのですが、これがなかなか難しいのです。
ちょうど欲しいものがあればいいのですが、いやこっちの方が高そうだとか、これは普通に買えるから要らないとか、けっこう悩むものです。
値段が書いてあればもう少し早く決断できるかもしれませんが、いちいち調べるのも馬鹿げています。
実はあのカタログにはちゃんとランクがあって、1500円くらいのものから50000円くらいのものまで種類がいくつかあるのです。
したがって、受け取った人にはわからないかもしれませんが、カタログを受け取った時点でそこに掲載されている商品のランクは決まっているわけです。
どれを選んでもそのカタログのランクを超える商品はないのです。
ここで間違っても他の人に相談してはいけません。
どれにした?なんて聞いたところで、実は受け取っているカタログのランクや種類が違ったりするとかなりややこしい話になるかもしれません。
 
ここで、もし同じカタログに金額の違う商品が載っていたらどうなるでしょうか?
しかも金額が書いてあったとしたらどうなるでしょうか?
1500円の商品、5000円の商品、1万円の商品、5万円の商品が並んでいて、1つだけ選んでいいと言われたらどれを選びますか?
おそらくほとんどの人が5万円の商品を選ぶのではないでしょうか。
横から子供が「僕これが欲しい」と1万円の商品を指さしたとしても、「それやったらまた今度買ってあげるからあんたは黙っとき」などと言われるでしょう。
あとで買うことはなかったとしても。
 
 
さて、本題に戻りましょう。
成績がよかったらどこでも好きな学校を選べるのかという話です。
仮に今月の公開テストの成績がよくて、氏名掲示されるくらいのレベルだったとしましょう。
クラスも当然一番上のクラスにいるとしましょう。
好きな学校を選んでいいと言われたらどこを選ぶでしょうか?
実は選択肢なんてほとんどないのです。
 
男子なら灘しかありません。
いくら甲陽に行きたいなんて言っていても、周りから「何で?」「もったいない」「当然灘やろ」「君たちは灘を目指すんや」などと言われているうちにみんな灘志望になります。
併願校として選ぶとしたら、洛南か東大寺のどちらか、それがだめなら西大和、最悪六甲後期か洛星後期くらいしか選択肢はありません。
もちろん併願校なんて行きたくないはずです。
 
女子なら洛南か神戸女学院しかありません。
洛南なら併願は西大和か高槻、四天王寺。
神女なら併願は海星か須磨学園か高槻、最悪で親和か甲南女子。
もちろん併願校に行きたいなんて思っていないでしょう。
 
成績さえよければ選び放題のはずなのに、実際にそこまでの成績を取ると選択肢は1つか2つしかないのです。
これは大学受験でも同じことがおきます。
全国トップレベルの学校で、高3になって「どこ受ける?」なんて話が出てきたりします。
ここでいう「どこ?」というのは大学名を聞いているのではないのです。
同級生なら理系か文系かは選択科目でわかりますから、ここで聞かれているのはⅠ類かⅡ類かⅢ類かということなのです。
それ以外の答えが出てくると必ず「何で?」と聞かれます。
近畿圏なら下宿が無理だから京都というのもあるかもしれません。
それ以外だと「あいつは負け組」みたいな雰囲気の中で生きていかなければなりません。
トップレベルの学校に行けば好きな大学に行けるというのも嘘なのです。
選択肢なんかないのです。
 
 
これはトップに限ったことではありません。
2番目以下のクラスであってもやはり選択肢は限られています。
例えば兵庫県在住の男子で偏差値50台後半で男子校志望なら六甲しかありませんし、女子なら神戸女学院を頑張って受けるしかありません。
 
むしろ偏差値40台くらいの方が選択肢は多いと思います。
と言いつつも、大手塾に通っているとだいたい受験パターンは決まってきます。
 
 
というわけで、成績がよくなるほど選択肢は少なくなるのです。
しかし、選択肢が少なくなることは決して悪いことではありません。
むしろ目標がはっきりしているわけですから、そこに向けて一直線に駆け抜けていけばいいのです。
 
けっきょくのところ「成績さえよければどこでも好きな学校に行ける」というのは、突き詰めていくと「灘を目指せ」になってしまうわけですね。(男子の場合)
それくらいは子供でもわかる理屈です。
ですから、そんなことを言われてそう簡単に「うん、僕頑張るよ」なんて言うわけないじゃないですか。
 
「勉強しないでいると1500円のカタログしか届かないよ」と言う方がよっぽど説得力があると思いますよ。
 
 
 
 
 
 

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