新年度立ち上がりから約3週間。
そろそろ宿題が回らないとか、息切れしてきたという声が聞こえてきます。
中学受験業界に蔓延するこの怪しい言葉について考えてみましょう。
宿題が回らない
塾のカリキュラムは基本的に1週間単位で、授業⇒テスト(復習テスト等)を繰り返していきます。
したがって、1週間単位で各科目の宿題をやらなければなりません。
もちろん科目によっては1回では不十分ですから複数回やることになります。
このルーチンワークを繰り返していくことを「宿題を回す」と言っているのです。
学校行事の都合や祝日などの関係で、あるいは学習する単元の難易度などの影響で、うまくこなせる週と全然間に合わない週があったりするのはやむを得ないのですが、慢性的に追いつかなくなってきた状態を「宿題が回らない」と表現しているわけですね。
まだ比喩表現が理解できていない子供の場合、「ほら宿題回してるで!」とよくふざけたりするのですが、「それは宿題ではなくて宿題ノートや!」と即座にツッコミを入れるのは関西圏特有の愛情表現であり教育的配慮でもあるのです。
宿題が回らなくなる主な原因としては、学年が上がったことで科目数や宿題量が増えたり、難易度が上がったのに対して、今までと同じ勉強時間では対応できなくなったことが考えられます。
もっとも有効な解決策としては宿題に充てる時間を増やすことなのですが、他の習い事があったり、継続的な学習習慣が出来ていなかったりするため、順応するのに時間がかかります。
今後考えられる問題としては、学校の学年が上がることで帰宅時間が遅くなったり、学校の宿題量が増えたりすることでさらに時間が圧迫されるということです。
これを「時間がない」と表現する人もいますが、これも比喩表現に過ぎず、1日が24時間であることは変わりませんし、みんな同じ条件でやっているわけですから、実際には時間がないのではなく、時間の使い方がうまくないということなのかもしれません。
息切れ
息切れとは”呼吸が乱れて苦しくなること”で、体が必要とする酸素量が十分に供給できていない、あるいは二酸化炭素が排出できていない状態のことです。
しかし、健康な人が全力で走ったり、急な坂道を登った後に呼吸が苦しくなったりするのは異常ではありません。
ふつうに日常生活を送っていて、特に運動をしたわけでもないのに呼吸が乱れて苦しくなるのであれば、何らかの病気を疑った方がいいかもしれません。
勉強で息切れするというのは単なる隠喩であって、本当に息切れしているわけではないと思います。
辞書を調べると、「物事の途中で根気が続かなくなること」とあります。
で、根気って何でしょうか?
根気とは、「一つの物事を途中で投げ出さずにやり続ける精神力」とあります。
え、今度は精神力?
精神力とは、「何かをやり抜こうとする意志の力」だそうです。
さらに意志の力?
意志の力とは、「自分をコントロールして物事をやり遂げる力」なのだそうです。
まとめると、
息切れとは、「自分をコントロールして一つの物事を途中で投げ出さずにやり抜こうとする力が持続できなくなった状態」ということになります。
こんな症状が日常生活で見られるようになったら一度病院に行って診てもらったほうがいいかもしれませんが、急に難しい問題をやるようになったり、宿題量が増えたために急に起きた症状であるなら特に異常ではないということなのでしょう。
引き続き頑張ってください。