みなさんのブログを読んだり、掲示板を見たり、教育相談を受けたりしているとよく出てくる言葉があります。
「それって本当に必要なんでしょうか?」
「必要」に本当も嘘もないのですが、そこをつっこむとただの空気が読めない人になってしまうので、もう少し深読みしてみましょう。
この人が言いたいのは、塾で必要だと言われたことが本当なのか、それともただの営業トークなのかということなのです。
さらにいうなら、この人が求めているのは「必要ない」という返事である場合がほとんどでしょう。
自分ではその必要性を疑問視しているのですが、自分の判断で決定すると自分の責任になってしまうので、誰かに背中を押してもらうことで責任を被ってもらおうという目論見かもしれません。
迂闊に断言してしまうのは危険ですね。
あとで「あの人が必要ないって言った」と言われるかもしれません。
表面的な付き合いしかしていない相手の場合、あとでどうなろうが知ったことではないので、「必要ないんじゃない」と適当に相槌を打つことも多々あります。
それを真に受けてしまうのもかなり危険ですね。
あとで「そんなの自己責任でしょ」と言われたら返す言葉はありません。
営業トークの見分け方
営業トークというのは上手い人になるとなかなか見分けるのが難しいものです。
基本的に塾講師と1対1で教育相談をする場合、あまり営業トークはしません。
教室運営に携わる講師でもない限りは、売上のノルマなどないからです。
下手をすると講師は講座の受講料すら知らない場合もあります。
でも寧ろその方が的確な判断が出来るという考え方もあります。
説明会など多数を相手に話をする場合、どうしても一般的な話になりますから、「この講座は受講してください」と言うことがあります。
反対に「この講座は必要ありません」というのは言いにくいものです。
人によってはそれを必要としている場合もあるからです。
教室職員に相談する場合は相手との信頼関係、つまりどこまで本音で話ができる相手なのかが重要になります。
どれくらいの人数が受講しているとか、どれくらいの割合なのかといった情報は職員の方がよく知っているかもしれませんが、その子の学力に合っている講座なのか、学力的に受講するメリットがあるのかどうかというのはやはり担当している講師でなければ分からないと思います。
講座の内容を考える
実際のところ、いわゆるオプション講座の必要性というのは生徒によって異なってきます。
例えば灘志望の子の場合、灘という冠のついた講座は基本的に全部受講した方がいいのですが、灘志望といっても偏差値が全然足りていない子の場合、資格なしで受講できる講座なら受講は可能ですが、それを受講するよりも家で勉強している方がいいという場合があります。
あるいは、遠隔地に住んでいて、講座を受講するために往復何時間もかけて通塾しなければならないような場合も、無理に受講しなくてもいいのではないかという場合もあります。
同じ最難関志望という括りの中であっても、例えば星光・洛星志望の子が灘・甲陽向けの講座を受講するとキャパを超えてしまう場合もありますし、その逆だと物足りなさを感じるかもしれません。
といいつつも、志望校別のコースに分かれるのは夏を過ぎてからで、それまではみんな同じ内容を学習しているということもあります。
考えるべきはその講座の内容で、志望校に合格するのに最低限必要な内容を学習するのか、あるいはプラスアルファの勉強をさせるためのものなのか、学力よりもモチベーションを上げることを目的としているイベントなのか、などということも考えなければなりません。
単なる過去問演習なら家で出来るというのであれば家でやればいいわけですし、家だと集中できないとか国語の採点が出来ないとか、わからないところを質問したいというのであれば講座を受講した方がいいということになります。
他人の意見
正直にいうと、これほど当てにならないものはありません。
学力も偏差値も志望校も何も違う人に相談したところで、なんの結果も得られないことはわかっていると思います。
それでも相談するのはやはり背中を押してほしいからなのでしょう。
基本的にみんな話をするときはかなり盛ります。
特に関西の人は話を面白くするためにかなり大袈裟に言う傾向があります。
関東の人は目立ちたくないのでかなり控えめに言う傾向があります。
※個人差がかなりあります。
受験終了組の「この講座は必要なかった」という話はあまり真に受けない方がいいと思います。
その人には本当に必要なかったのかもしれませんし、単なる自慢かもしれません。
しかし、実際に受講していた人がそれを不要だと言ったところで、全く信憑性はありません。
その講座を受講していたから合格できた可能性を完全に否定できないからです。
お金だけ払って一回も授業に出なかったというのならまだしも、ガッツリと通っていたのならやはり必要だと考えた方が妥当です。
反対に、不合格だった人が「この講座を受講していればよかった」というのも、全く信用できません。
不合格だった原因がその講座を受講しなかったことなのか証明することはできないからです。
ちょっと残酷なようですが、勝負の世界には「負けたやつの話なんか聞くな」という鉄則があります。
相談するのなら塾の講師にするべきなのです。
その講座の内容や主旨、その子の学力を正しく理解している講師に相談しましょう。
もし、受講するかどうかで悩んでいるのなら、私はとりあえず受講することをお勧めしています。
まずは1ヶ月でもいいのでやってみてその結果で判断する方が、やってもいないのにあれこれ悩むよりよっぽどいいと思います。
オプション講座は生徒にさらなる負荷をかけるためのものですから、きついのは当然です。
それに耐えられるかどうかはやってみなければわかりませんし、みんながやっていることが耐えられないのであれば志望校を下げた方がいいということなのです。
簡単すぎて必要性を感じられないのならすぐにやめてもいいと思います。
本当に必要かどうかというのは一般的には対照実験で検証します。
受験生を学力が均等になるように2つのグループに分けて、一方には講座を受講させ、もう一方には受講させません。
その結果、受講したグループの方が合格率が明らかに高いのであればその講座は必要だと言うことができます。
また、どちらのグループも同じくらいの合格率であれば、その講座は不要だとみなすことができます。
実際にそのような実験を行うのは難しいので、必要かどうかを証明する方法はないということになります。
塾ではときどき新しい講座が作られることがありますが、前年度と比べて成果がなければ翌年は廃止になったりすることもあります。
さらに内容がグレードアップすることもあります。
上位層は講座とかは関係なく安定して合格しますので、ボーダーライン付近の生徒をどれだけ合格させられるかが塾にとって一番重要な課題となります。
それゆえに上位層にとっては不要な講座と言われるのは仕方がないことなのです。
それではまずいということで内容を難しくすると、ボーダー付近の子にとってはかなりきつい内容になってしまいます。
そこでクラスを分けて扱う問題に差をつけたりするわけですが、下のクラスの子が家に帰ってテキストの問題をすべて解こうとすると難しくてできないということになるのです。