処理速度を上げる方法(ステージ1)を紹介しましょう。
といっても、すでにみなさんがご存知の方法です。
反復練習です。
同じことを何回もやれば必ず速くなります。
もちろん続けていくと必ず限界は来るのですが、まずはそこまでやってみましょうという話です。
宿題をやるのに1時間かかるとしましょう。(1回目)
同じ宿題をもう一度全部やり直すとかなり所要時間は短くなります。
偏差値50前後の平均レベルの子の場合、目安としては次のような感じになると思います。
1回目:60分
2回目:30~40分
3回目:20~30分
4回目15~20分
5回目12~15分
※ただし、途中の式や図をとばしたりすることはなく、計算も必ず毎回やるものとします。
最初の1回にかかる時間を1とすると、
2回目で2分の1、3回目で3分の1と反比例していきます。
さすがに5回目くらいになるとタイムは縮まなくなってきます。
そのあたりが物理的限界ということになります。
普段から宿題を何回もやり込んでいると1回目から30分くらいになります。
2回目で15分、3回目で10分と減っていき、そこで限界に達します。
一つの目標としては、限界に達すまでの回数と時間を少なくしていくことではないかと思います。
3回目までやり込んでトータルで1時間なら、宿題は余裕で回ります。
そこまで出来るようになろうと思ったら最低でも2ヶ月くらいは頑張らないといけません。
なぜ回数をこなすと速くなるのでしょうか?
当たり前のことなのですが、ちゃんと理由があるのです。
1回目から2回目で大幅に短縮する理由
1回目はやり方をよくわからずに考えながら解いていることが多いと思います。
実は問題を解くのにかかる時間の大部分は「考えている時間」なのです。
本人は一生懸命頭の中で考えているのですが、残念ながら傍から見ていると完全に停止しているようにしか見えません。
処理速度を上げていこうと思ったら、この「考えている時間」を極力減らしていくことが最大のポイントとなります。
宿題も2回目になると、1回目でやり方がわかっていますから、それほど考えることもなく問題を解いていけるのです。
初めて行くお店で待ち合わせなんかをすると、すぐ近くにいるのにお店がどこにあるかわからなくて迷ったりすることがあるかもしれません。
でも、2回目からはすぐに行けますよね?
それと一緒です。
2回目から3回目以降
2回目でもまだやり方を完全に覚えていない人はやはり迷ったり考えたりします。
それでもさすがに3回目ともなればほとんど迷うことなく解いていけるようになるでしょう。
すでにやり方を覚えている人なら、図を描くのも計算をするのも、やることはわかっていますからどんどん速くなっていくのです。
そこからさらに速度を上げようと思ったら、無駄なものをどんどん削っていかなければなりません。
図や表を描くにしても、必要ない記号は書かない、いちいち単位をつけない、それだけで時間はまだまだ短縮できます。
式は最低限書くにしても、途中の計算まですべて書く必要はありません。
そうやってどんどん絞り込んでいくうちに要領が良くなっていくのです。
宿題をやり込んでいるのにちっとも速くならないという人がいます。
まずはもう一度そのやり方を見直してみましょう。
・宿題を1回しかしない
1回やるだけでも、やらないよりはましです。
要領のいい子なら1回やるだけでコツをつかみます。
テストのときに余裕で解ききれるだけのスピードになればいいわけですから、とりあえずはそれで何とかなってしまいます。
極論を言えば、初見で十分解けるだけのスピードがあればテスト勉強は不要なのです。
ですが、そのレベルに到達するまでにはやはりかなりの練習が必要です。
実力問題になるととたんにスピードが落ちてしまったりするわけです。
・宿題は間違えたところだけやり直す
これもよく聞くケースです。
もちろん間違えたところをやり直すのは当然です。
しかし、処理速度を上げる練習にはなっていないのです。
速度を上げたければ、正解した問題を反復練習しなければならないのです。
速度を上げる気がなければそのやり方でもいいのですが、そのかわり処理が遅いと子供を責めてはいけません。
音楽とかスポーツなどの習い事をして、コンクールや大会に参加したことがある人なら経験的に理解していると思いますが、1回しか練習していないのに勝負に勝とうというのがそもそも甘いということですね。
「ゆっくり丁寧に」
処理速度を上げるということは雑になっていいということではありません。
ゆっくり丁寧にやるということに変わりはありませんが、その基準となる速度を上げていこうということなのです。
字を速く書くと汚くなるという子は、ゆっくり書かせてもそれほど綺麗ではないというツッコミは抜きにしても、速く綺麗に書く練習をしていないからだと思うのです。
本当に字が上手い人はそれなりに書くのも速いものです。
綺麗に書かせたいと思うのであれば、速度は落とさずに綺麗に書く練習をさせた方がいいと思います。
でないと、せっかくゆっくり丁寧に練習しても、速く書かせたとたんに字が崩れていきます。
計算も一緒です。
速く計算する練習をしないと、速く計算できるようにはならないのです。
ゆっくり練習するのは最初の1回、手順や筆順を覚えるためにする練習だけで十分です。
上手い人はそのときに、どう崩したらいいか、次にどう繋げたらいいか、どこを省略するかなどを考えるのです。
「マイペースで」
マイペースでいいのはトップレベルの子だけです。
彼らのペースは十分速く、周りに合わせると遅くなってしまうのです。
しかし、受験において平均レベルと言うのは倍率2倍なら合格ラインの前後ということですから、そのままのペースで行くと50%の確率で負けるということです。
上を目指すのであれば、そこにいる人達と同じペースにしなければならないのです。
高速道路の合流レーンにいる人が加速しなくてどうするのだということです。
ちなみに公開テスト10傑レベルの子がどれくらいの速さで問題を解いているかご存知でしょうか。
例えば50分のテストであれば、最初の20分で8割くらいは取れているんです。
そこから残り30分くらいかけて90点台後半~100点へと持っていくわけです。
どうしても最後の1問が解けそうで解ききれなかったときに「時間がなかった」「難しかった」と言っているわけですね。
最初の20分は1問あたり1分程度で解いている計算になります。
それが正答率でいうと20~30%くらいまでの問題ですね。
なぜそんなに速く解けるのかと聞いてもみなさんが求めるような「秘密」はありません。
単純に「解き方を知っている」からなのです。
なぜ知っているのか?
今までに習った範囲から出題されているからです。(一部の問題を除いて)
なぜ解けるのか?
なぜそんなに速いのか?
練習してるからに決まっているじゃないですか。