さて、ここまでのポイントをもう一度振り返ってみましょう。
処理速度を上げるために必要なこと
・問題の解き方を覚える
・目標タイムを決めてひたすら反復練習
ここまでで1問あたり1分以内を目指します。
さらに秒速で解くために
・速く解くためのテクニックを身につける
・よく出てくる計算や数値は暗記する
・ひたすら反復練習
これで1問あたり5秒~30秒を目指します。
ここから先は頭がおかしいレベルになります。
1問5秒で解く人がさらに1秒短縮すれば20%減となります。
0.5秒でも10%ですから、10分かかる人が1分縮めるのと同じ割合です。
しかし、そのために必要な努力は何倍にもなります。
正直言って、そこまで時間をかけてできるようになったとしても成績は上がりません。
というより、すでに大手塾で上位に入るレベルまで来ているのではないでしょうか。
しかし、将来何かの分野で日本代表を目指すとか、世界を目指すのであれば何かの参考になるかもしれません。
道具選び
「弘法筆を選ばず」ということわざがありますが、それはあくまでもたとえ話であって、実際のところ弘法大師は筆のコレクターだったそうです。
一流のプロは自分にあった道具を選ぶものです。
勉強に必要な道具と言えば筆記用具です。
鉛筆は使いません。
芯がなくなったり折れたときにタイムロスになるからです。
使うのはシャーペンです。
芯が硬すぎると滑りが悪く書きにくいので、筆圧が弱い人は2Bとかを使うといいですね。
そのかわり折れやすくなるので、0.5㎜ではなく0.7㎜か0.9㎜のシャーペンを使うといいかもしれません。
製図用のシャーペンを使うのもいいですね。
振ると芯が出るシャーペンは重いので長時間使っていると手が疲れます。
なるべく軽いものの方が速く書ける上に疲れにくいかと思います。
余計な機能は邪魔になるだけですから、シンプルなものがいいです。
シャーペンは同じものを複数用意しておきます。
万一芯が詰まったり、出なくなったり、落としたりしたときにすぐに予備を取り出します。
筆箱も出し入れしやすいものが便利です。
ペン立てになるタイプとかが便利ですが、机が小さいと邪魔になります。
消しゴムも落としたりすることがあるので、複数用意しておきます。
そこまで考える必要があるのかと思うかもしれませんが、コンマ何秒を詰めていこうという話ですから。
左手を使う(右ききの場合)
普段勉強するときに左手を使うことはほとんどないかと思います。
テキストが閉じてしまうのを押さえておくくらいでしょうか。
左手を効果的に使うことでさらにコンマ何秒を縮めることができるのです。
処理速度の速い子は無意識のうちにやっている場合があります。
テストでは解答用紙に答えを書きます。
答えを書いたら次の問題に取り組み、解けたらまた解答用紙に答えを書きます。
そのときにどうしても問題用紙から目を離さなければなりませんが、次の問題を解くときに一瞬どこをやっていたか探さなければならなくなります。
そのときにかかる時間がコンマ何秒~数秒かかります。
そこで左手の指で次の問題のところを指しておくのです。
そうすれば視線を瞬時に戻すことが出来ます。
暗記テスト等の場合、1問あたりにかける時間は解答の字数にもよりますが数秒程度です。
問題数が100問もあったら、問題を探すだけでかなりの時間を使ってしまいます。
ちなみに暗記テストで速い子がよくやっているのが、右手で解答を書きながら、目線を次の問題にうつすというテクニックです。
左手で問題を指しているとはいえ、視線を移動するのにわずかな時間がかかります。
十分な大きさの解答欄に書き慣れた文字を書くだけですから、それを見ている必要はありません。
解答用紙を見るのは解答欄の場所を確認するためで、右手を置いてしまえばあとは見なくても書けるのです。
書き間違えても自分でわかります。
書き間違えたときに消しゴムを探すのに時間がかかります。
そこで消しゴムは左手に握っておきます。
もちろん消しゴムを使うのは解答欄に書き間違えたときだけで、計算用紙の間違いには使いません。
時計
問題を解いている間は時計は見ません。
それだけのスピードで解いていれば残り時間など気にする必要がないからです。
一通り解き終わってから残り時間を確認すればいいのです。
高速で問題を解いていると時間感覚がおかしくなってきます。
ふと時計を見ると、秒針が止まって見えたりするのです。
そこで我に返ってしまうとせっかく勢いに乗っていたスピードが落ちてしまいます。
問題を解く順番
1番から順に解きます。
問題を飛ばすのはどうしてもわからないときだけです。
スピードがあれば時間配分など気にする必要はありません。
それよりも解答欄がずれる方が危険です。
わからない問題が出てきたときは一旦深呼吸をするといいと思います。
速く解くあまり、呼吸を止めていたり、酸素の消費量が増えて酸欠になっているかもしれません。
酸素が足りないと計算が極端に遅くなったり、繰り上がりができなくなったりします。
暗算
暗算は基本的にしない方がいいでしょう。
ソロバンを習っていた人ならいいですが、そうでない人は頭の中で筆算をしているだけです。
手で書いて計算するのと同じくらいか、それ以上のエネルギーを消費します。
長時間続けていると脳が疲労し、計算能力が落ちてきます。
それなら手の筋力を使う方がいいのです。
筆算をしたくないのなら、暗記をすることです。
暗算より何十倍も速く、疲労も少ないのです。
時間短縮が目的なら筆算より速い場合に限り、暗算をしてもいいでしょう。
しかし、どちらが速いかを判断している時間はありませんから、とりあえず筆算を始めます。
書いている途中で答えがわかったら、書くのをやめます。
筆算も極力書くことを減らします。
例えば144×3.14という計算があったとします。
1桁×πの計算は覚えていますから、
314
1256
1256
45216
と、ずらして書くだけです。最後に小数点を打ちます。
72×99という計算なら、
7200
72
7128
ですね。計算用紙にはこれだけで十分です。
ちなみに足し算や引き算は右からやるように習いますが、左からやる方が便利なことがあります。
意味がわからない方は無視してください。
矯正するのに数ヵ月かかります。
空気抵抗と重力加速度
普通に勉強をしていて空気抵抗を考えることなどありません。
しかし、常人離れした速度で処理をしていると気になってくるのが空気抵抗です。
テキストのページをめくるとき、テスト開始時にプリントを裏返す時などに紙がぴらっとなるアレです。
裏返した紙が空気抵抗により揚力を受け、重力で完全に裏返って机の上に落下するまでにコンマ何秒かかかります。
それが待ちきれない人が何をするかというと、紙の上から手で押さえつけるのです。
失敗すると紙が破れたり、変なところで折れたりします。
先生が素早くプリントを配るときは、この空気の壁を利用します。
プリントの束から必要な枚数を数えて抜き取ると、空気に乗せて滑空させるのです。
手を離すとえらいことになりますから、プリントの端を持ったまま生徒の机の上に着地させます。
生徒はそれを空中でキャッチしようとしますが、手が切れる恐れがあるので待てと。
するとプリントを上からバンっと押さえつけて取ります。
で、自分の分を取ったら後ろも見ずにそのままフワッと。
下手な子がやると紙がくしゃくしゃになります。
私はいつもあらかじめ組んで2つ折りしたものを配っていました。
手間はかかりますが、配るのはその方が速いのです。
チャイムがなって、起立~気をつけ~礼~着席、プリントをすばやく配って、チャイムが鳴り終わると同時に「始め!」と。
しばらくするととなりの教室から「はい、きり~~つ!」と聞こえてきます。
遅い!
というわけで、ここまでくると頭がおかしいレベルだというのは理解頂けたかと思います。
しかし、上には上がいるものです。
頭脳王というクイズ番組があります。
先日、決勝に出た人に話を聞いたのですが、決勝戦に出てくるような人たちは問題を聞くよりもまずボタンを素早く押すことを考えるのだそうです。
東大・京大のクイズ研究会の人達ですから。
とにかく一番最初にボタンを押して解答権を得るのです。
そのあとで問題を最後まで読み上げてくれますから、その間に答えを考えるという作戦なのです。
どんな問題がきても答えられる自信があってこそなのでしょう。
テレビを見ていてこの問題なら自分もわかると思った人もいると思いますが、彼らには絶対に勝てません。
小倉百人一首かるた選手権全国大会をニュースなどで見たことがあるでしょうか。
彼らも上の句を聞いてから札を探すなんてことはしません。
聞いているのは上の句ではなく、上の句の最初の音なんですね。
決まり字というのですが、最初の何文字まで聞いたら下の句が確定するというものです。
たとえば「きみがため」で始まる札が2つありますが、その次の音がhなら
「わかころもてにゆきはふりつつ」を取る(札をはじく)わけですね。
そんな人たちと対戦したらきっと1枚も取れないでしょう。
将来何かの分野で全国大会とか、日本一とか、世界大会を目指そうというのであれば、そういうレベルで考えていかなければ全く勝ち目はないということです。
ひょっとしたら勝てるかも?
頑張ってみてください。