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塾は成績を上げてくれるところではなかったのか!

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一体何を言っているんだ?と思うかもしれませんが、中学受験のための塾(特に大手塾)は成績を上げるための塾ではありません。

目的は中学に合格させることであって、偏差値を上げることではないのです。

特に大手塾ともなるとどこも塾内模試(公開テスト、公開模試など)を実施しています。

志望校選びやクラス替えの資料となる偏差値もこの塾内模試が基準になっていると思います。

公開と名のつく模試ですから、当然塾外生も受験可能ですが受験者のおそらく9割以上はその塾の塾生でしょう。

偏差値というのは母集団(受験者)の中での相対的位置を示すものです。

その平均値を50とするわけですから、全員の成績を上げることは理論上不可能なのです。

誰かの成績が上がれば、違う誰かの成績が下がってしまうからです。

 

中小規模の塾で、五木や四谷大塚など外部の模試を受験しているのであればその塾の生徒全員の成績を上げることは理論上可能です。

塾内の模試では無理なのです。

 

 

大手塾の講師は基本的に自分が担当するクラスの生徒全員の成績が上がって欲しいと思っています。

それはすなわち自分に指導力があることの証明になると思っているからです。

その一方で、自分の担当クラスの子だけ成績が上がっても、次のクラス替えでみんな上のクラスに行ってしまうと面白くありません。

そこで極端な話、自分の担当する科目だけ上がってくれたらいいと思っていたりします。

一番上のクラスを担当していたら、他校舎の最上位クラスとの平均点勝負になります。

中にはテストの情報を漏洩するとんでもない講師もいたりするのです。

ですがどの講師も自分のクラスの成績を上げようとすると、結果的に全体の学力が上がるだけで偏差値はそれほど上がりません。

かつて大手塾でテストの改定作業のために全クラスの平均点を調べる作業をしたことがあります。

誰がどの教室のどのクラスを担当しているかはだいたいわかっているので、力があると言われている講師とそうでない講師ではどれくらいの差が出るのだろうかと思ってみてみると、はっきりとした差は見られませんでした。

 

それでも結果にこだわる人が多いのはなぜでしょうか。

講師の実力は生徒の結果で評価されることが多いからでしょう。

ですから中学の合格実績があまり良くなかったとしても、自分の担当する科目の平均点が高ければ自分は責任を果たしたのだから悪いのは他教科だと主張する人もいます。

テキストのせいにする人もいます。

年度ごとにみると確かにバラツキは見られますが、平均してみるとそんなにはっきりした差は見られないと思います。

 

話を戻しましょう。

 

よく塾では「頑張ったら成績は上がります」などということがあると思います。

これは半分正しいのですが半分間違いです。

半分正しいというのは偏差値50から下半分の人たちの話です。

仮に塾生全員が同じように頑張って同じだけの学力をつけたとすると、みんな同じような点数になります。

つまり平均点付近に集中するわけです。

そうすると全員の偏差値が50に近づきます。

ですから、偏差値50未満の人は成績が上がることになるわけです。

ところが偏差値50を超える人の場合は平均点が上がれば偏差値が下がります。

つまり偏差値50に近づくわけですね。

 

おそらく難関コースの説明会では「頑張ったら成績は上がります」と言われるかと思います。

でも最難関コースになるとそういう言い方はしていないはずです。

どちらかというと「頑張らないと成績が下がる」というようなニュアンスの発言が多いでしょう。

 

 

実際のところ全員の成績が偏差値50になるようなことはありません。

上位の生徒と下位の生徒では明らかに勉強量が違うからです。

そもそもクラス帯が違えば宿題範囲も違いますし、上位帯は最難関向けの特訓講座やイベントに参加していますから圧倒的に勉強量の差があるのです。

 

6年生にもなると公開テストや実力テストのたぐいのテストは難易度が上がります。

そうすると平均点は下がります。

するとどういう現象が起きるかというと、上位層は今までにないような高い偏差値が出やすくなります。

もちろん実力のある人限定です。

今までは満点でも偏差値60台しかでなかったのに、急に偏差値70台とかが出るようになるのです。

反対に下位層はどうなるかというと、みんな点数が取れなくなるので差がつきにくくなります。

その反面、1点あたりの偏差値の差が少し大きくなるので、ちょっとしたミスやまぐれあたりで偏差値が激しく変動したりもします。

学年が変わってから3ヶ月くらいの平均を見ればそれがだいたいの実力ということです。

上下差が激しい人ほど不安定とも言えますが。

で、ほとんどの人がそのまま推移します。

つまり、不安定な人は上下を繰り返すということでもあります。

一喜一憂するなというのはそういうことなのです。

 

頑張っても全然成績が上がらないのに、サボるとすぐに下がるという緊張感の中で頑張り続けるしかないのです。

成績を上げようと思ったら、まわりのみんなよりも相対的に勉強量を増やすしかないと思います。

トップ層は平均点の変動で大きく偏差値が変わるので、偏差値よりも順位で考えた方がいいかと思います。

 

大手塾の講師が目指すべきは生徒全員の偏差値を上げることではありません。

それは無理なのです。

ですが生徒全員の学力を上げることは可能です。

その結果、合格実績が極端に良くなれば翌年の学校の偏差値が下がることになるでしょう。

つまり、偏差値表の志望校の偏差値を下げることを目標とするのが正しいということです。

成績が取れなくても結果的に合格できればいいということですね。

※あくまでも理論上の話です。

 

 

というわけで、塾の偏差値を上げるのは各生徒、各家庭の努力でしかないわけです。

塾で相談してもなかなか納得できる答えが出ない本当の理由はそこにあります。

特に大手塾の生徒数の多い校舎では難しいんです。

 

 

※みなさんが頑張っても成績が上がらないということではありません。

※あくまでも理論上の話なので、個人差がかなりあります。

※塾講師が手を抜いているということではありません。

※塾の規模、校舎の規模、クラスの人数によって多少の差があります。

 

 


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