中学受験におけるA判定偏差値というのが曲者なのです。
偏差値というと大学受験を思い出すという人も多いかと思いますが、判定の出し方が微妙に異なります。
例えば大学受験だとA判定からF判定くらいまであったかと思います。
で、A判定ともなれば合格確実ラインで、C判定でも十分合格が狙えるというイメージではないでしょうか。
現役生ならE判定でも頑張っていればギリギリ何とかなるかもしれません。
中学受験の場合、多くの塾ではA~Dの4段階くらいの判定になっているかと思います。
A判定は合格可能性80%(塾によっては85%)ということになっていますが、これはその偏差値の受験生が受験した場合に80%の確率で合格するということではなく、その偏差値以上の全受験者の80%が合格しているという計算になっています。
つまり、受験生を偏差値順に並べ、上から不合格者数を数えて合計し、その割合が20%を超えるあたりがA判定ラインということです。
当然ながら、不合格者の割合は偏差値が下がるほど高くなりますから、不合格者20%はA判定ライン付近に多くなります。
実際にA判定ギリギリだとどれくらいの合格率なのかを調べてみたことがあるのですが、だいたい50~60%くらいという結果になりました。
B判定(合格可能性60%)はA判定より1~2ポイントくらい低くなります。
これも同様に、B判定偏差値以上の受験生の60%が合格しているという計算です。
その60%の合格者数からA判定の合格者の人数を引くと、B判定の受験生の本当の合格率が出ます。
これは学校によってかなりばらつきがありますが、平均すると30~40%くらいになります。
同様にC判定(合格可能性40%)の正味の合格率はよくて10%程度です。
D判定は基本的に合格者がいないと考えていいと思います。
(実際には例外が出る年もあります。)
五ツ木・駸々堂中学進学学力テストというのがあります。
このテストは判定がもっと細かくてF判定まであるのですが、A判定が90%以上、B判定が80~89%、C判定が60~79%となっています。
ですからC判定の上位であれば十分合格を狙える圏内ということになります。
そこまで細かく判定が出せるのは、受験者数が多いということ(5000人以上)、追跡調査をかなり念入りにやるということ、テストを主業務としていることが挙げられます。
ただし、最難関レベルの志望者は大手塾の模試しか受けない人が多いです。
話を戻しましょう。
A判定ギリギリで合格率が50~60%だとすると、感覚としてはかなり危険な勝負だと思います。
確率50%なら2回に1回は受かると信じている人がいますが、
2回受けて少なくとも1回は合格する確率は次のように計算します。
100%-(2回とも不合格の確率)=100%-25%=75%ということです。
まだ安心はできません。
ちなみに3回受けて少なくとも1回合格する確率は87.5%です。
何回受けても計算上100%にはなりません。
合格可能性80%にするためには、A判定偏差値のだいたい2ポイントくらい上の偏差値が必要なのです。
というわけで以前から2ポイント上というのを推奨してきました。
しかし、A判定偏差値の2ポイント上では合格者平均に届かない可能性が高いのです。
合格最低点がA判定ラインと勘違いしがちですが、それでは計算が合いません。
A判定の合格可能性が80%ですから、合格者数の1.25倍の順位が計算上のA判定ラインです。
つまり、合格者が200名の入試であれば250位の点数の人がギリギリA判定になります。
そうすると250人中200名合格で80%になるのです。
ですから、A判定ギリギリを狙うということは合格最低点の下を狙うということになります。
それを+2ポイントで補正して、ようやく合格最低点を越えるくらいになるかと思います。
全力で頑張ってギリギリ合格するのも実力として評価していいと思いますが、それでは志望校に最下位で入学することになります。
塾で上のクラスに上がった途端について行けなくなるという経験をしたことがある人なら理解できるかと思います。
入ったあとでさらに努力する覚悟があるのならいいと思います。
せめて合格者平均が取れるくらいの実力に持っていこうと思ったら、A判定よりも4ポイントくらい上を目指してもいいのではないかと思います。
少なくとも一番悪い科目がA判定を下回らない程度に仕上げていかなければなりません。
目標としては、志望校別コースのクラス分けで1番上のクラス、その中で平均を越えるくらいの位置を最低ラインとして頑張っておけばひとまずは大丈夫かと思います。
将来的に国立医学部とかを目指すなら上位1ケタくらいを目指しておかなければなりません。
1番上のクラスともなると、みんなかなり勉強をしています。
夏休みに入るとみんな朝から晩まで勉強します。
そういう人たちに追いつこうと思ったら、これから夏までが最後のチャンスです。
(灘を目指すならそれを遅くとも5年までに)
やる気出ましたか?