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夏期講習の裏側 その2

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塾によって夏期講習の内容は違うと思いますが、受験学年で特に最難関志望ともなると毎日朝9時から夜9時くらいまでは塾に拘束されるかと思います。

で、盆休みもなく、日曜もイベントなどで埋まっているのではないでしょうか。

難関志望だともう少しゆるくなるかと思います。

 

今回は早朝なんとか特訓についてお話ししましょう。

今年は去年よりも時間数が短くなっているようですね。

その分だけ金額も安くなっているようです。

 

内容としては自習&質問受けなんですが、「自習なのにお金を取るの?」とか「塾は金儲け」なんていう人がよくいます。

そこで塾サイドの話をしましょう。

 

料金は1回900円ということなので、それで計算してみます。

生徒の少ない校舎だと参加者が30人くらいしかいないことがあります。

30×900=27000円の売り上げです。

そのために2時間以上早く教室を開けなければなりません。

その間、教室職員が2名、警備や生徒誘導のアルバイトが1名、自習室監督が1名必要になります。

質問受けには最低でも算・国・理1名ずつの3名の講師が必要です。

質問の少ない国語を削ったとしても2名必要です。

職員も講師も時間給だとすると、交通費も入れたら合計27000円では収まるはずがありません。

 

参加者が60人だとしましょう。

60×900=54000円の売り上げです。

ですが、教室が最低でも2つ必要になるので自習室監督は2名になります。

講師が3名だとすると、これでとんとんになるか少し赤字になるくらいでしょう。

 

参加者100人だとすると中規模の校舎になるかと思います。

職員2名では足りないかもしれません。

教室も4つくらい必要ですし、質問受けの講師も4~5名は必要になります。

どんなに頑張ったところで、早朝なんとか特訓の利益は知れています。

 

実はこの講座は数ある講座の中で最も料金が安く、生徒&保護者にとってはお得な講座なのです。

たった900円で2時間も強制的に自習をさせてくれて、質問受けもしてくれるのです。

 

私がいた頃は3時間で1500円だったと思います。

初年度はこの講座だけで集計すると赤字が出たと聞いています。

なのになぜ塾はそんな講座をやるのかというと、他塾がやり始めたのがきっかけではないかと思います。

で、やってみたところ生徒の勉強時間が大幅に増加し、保護者の反応も良かったことから毎年やるようになったのでしょう。

 

ちなみに大教室だと受講率は7~8割くらいになるでしょうか。

上位のコースやクラス帯ほど受講率は高くなります。

下のコースやクラス帯の生徒はどんどん受講率が下がっていき、夏休み後半になると全体で5~6割くらいの参加者しかいなかった記憶があります。

最近は知りません。

 

休み時間以外は私語禁止でひたすら自習をさせます。

昼食は特訓終了後、夏期講習が始まるまでの空き時間で食べさせます。

質問がある生徒は質問科目、テキスト名、問題番号などを用紙に書いて挙手をします。

自習室監督がそれを回収し、講師に渡します。(教室の外に置きます)

講師は順番に生徒を質問受けの教室(別室)に呼び出し、質問受けをします。

トイレは基本的に休み時間に行かせます。

質問は時間がきたら受付を終了し、講師は生徒のノートチェックを行います。

一人ひとりに評価やコメントを記入していきます。

 

さて、どれくらい質問ができるのでしょうか?

1日の特訓で多い講師は30~50件くらいを処理します。

科目によっては質問が全然出なくて5件くらいのこともありますが、給料は同じです。

質問受けに使える時間は実質2時間くらいとして計算してみましょう。

1件当たりの質問を処理するのにかかる時間は平均2~4分です。

これは科目、質問内容、講師の処理能力、生徒の理解力によってかなり差があります。

また、教室移動(講師)⇒生徒呼び出し⇒教室移動(生徒&講師)⇒質問対応というプロセスなので、教室の規模によって移動時間がけっこうかかります。

平均したら1件あたり4分くらいと考えていいと思います。

 

生徒が30人、講師が3人、2時間だと処理件数は90件で生徒一人当たり3件。

質問をしない生徒もいますから、5割の生徒が質問したとすると一人当たり6件が平均値になります。

ちょっと少ない気がしますね。

 

生徒が300人(10教室)、講師が20人、2時間だと処理件数は600件で生徒一人当たり2件。

質問する生徒が全体の5割だとして、一人当たり平均4件という計算になります。

 

実際には各教室の生徒数、質問件数などを本部で集計していて、曜日(当日の授業科目)なども考慮に入れた上で、最も効率よく質問受けができるように講師を配置しています。

しかし、どうしても人数の少ない教室の方がたくさん質問ができる可能性が高くなります。

単純に生徒一人当たりに対する講師数が多くなるからです。

塾からすれば赤字です。

 

 

質問が最も多く出るのは算数です。

次が理科です。

国語は3番目です。

社会はほとんど出ません。

講師一人当たりの質問受け件数も算数が一番です。

 

夏期講習1週目は質問が少なく、2週目から多くなります。

これは多くの生徒が夏期講習の宿題を午前中にやるからです。

質問が集中するのはその日の夏期講習の科目です。

コースによって実施科目が違いますが、各コースの夏期講習担当講師が質問受けに入るので比較的スムーズに回ります。

 

最難関コースの質問は内容が難しいので、担当コースの講師やベテラン講師でないとなかなかうまく対応できません。

質問受けに時間がかかったり、待ち時間が長くなることがあるのです。

ですから授業のない日に質問を出すとなかなか順番が回ってこないということがあります。

科目によっては担当講師がいないため質問できないということも時間割の都合上起こりえます。

そこらへんをよく考えて質問を持っていかないとひたすら待たされるだけで一日が終わります。

質問用紙を一旦提出すると、質問が終わるまでは次の質問が出せないのです。

 

900円で2時間自習出来た上に、4問くらい質問できたらいいと考えたらいいと思います。

それなら家庭教師や個別指導に行かせた方がいいと考える人もいると思います。

2時間だと1万円~2万円くらいかかりますが、質問処理件数は20~40件くらいにはなるかもしれません。

※質問の内容、講師の処理能力、生徒の理解力によります。

 

 

質問受けは新人講師にとっては最高の修行の場となります。

どんな質問が出るか、どんな生徒が来るかわからない緊張感の中で場合によっては初見で問題を解かなければならないのです。

最難関レベルの問題だと解けないかもしれません。

そこで各コースのテキストの問題を予習して臨むのです。

同じ問題を何度も質問受けしていくうちに教える能力はどんどん上がっていきます。

果敢にチャレンジしていく講師ほど早く成長します。

反対に予習もしてこない、自分の解ける問題しか対応しない、隙があればサボる、そんな講師もいます。

そういうのはみんなちゃんと見ているのです。

誰もそんなやつの相手なんかしませんけど。

 

そうやって同じ問題を何度も解いているから、”瞬殺”できるようになるんですよ。

問題番号を聞いただけで解説を始められますし、(3)とかからでもいきなり解説できるようになります。

どこで詰まるか、どこで間違えるか、何が足りないのかが瞬時にわかるようになっていくのです。

※講師の話です。

 

 

ベテラン講師は質問受けが始まるとテンションが上がります。

少しでも早く質問を処理するためにスピードが上がります。

ゆっくり歩いている生徒がいるとイラッときて、「早くしろ!」と叫びます。

生徒を呼びに教室に入ったとき、みんなが顔を上げると「集中しろ!」と叫びます。

昔はどなり声が響いたものですが、最近はどうなんでしょうか?

 

みなさんも頑張って下さい。

 

 

 

 

 


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