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「50分で6割取れればいい」という発想

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入試に関してよく言われる言葉です。

 

50分というのは試験時間のことで、中学入試の試験時間は1科目あたり50分という学校が多いのです。

中には60分という学校もありますので念のため受験予定校の試験時間はチェックしておきましょう。

 

6割というのは合格最低点の目安です。

合格最低点の平均値が6割前後ということです。

100点満点で60点前後、120点満点なら72点くらい、150点満点なら90点くらいが合格最低点になることが多いのです。

中には7割取らないと合格できない学校もありますが、だからといって同じくらいの合格ラインの学校に比べて難しいということはなく、むしろ点数が取りやすい場合が多いです。

 

塾の学力テストでは6割くらいが平均点となることが多いと思います。

とりあえず偏差値50を越えようと思ったら6割は必要と考えておけばいいと思います。

 

 

さて、入試問題について考えてみましょう。

算数(100点満点)の問題数は小問数で15~16問くらいが最も多く、20問以上出題される学校は少ないです。

1問あたりの配点は平均値で6点前後、実際には4~8点くらいまで分布します。

6割取るためには約10問正解すればいいという計算になります。

 

試験時間が50分だとすると、1問あたり5分かけて正解すればいいということになります。

そう考えると、多少解くのが遅かろうが、わからない問題があろうが、どうにかなりそうな気がする、という話です。

 

ところが、この時期になって過去問をやり始めてみると全然時間が足りないとか、点数が足りないという問題が発生します。

どこに問題があるのでしょうか?

この先どうにかなるのでしょうか?

 

 

 

【問題点 その1】 時間が足りない

 

1問あたり5分かけて10問を取りに行くという作戦はかなり高い確率で失敗におわります。

なぜでしょうか?

1問あたり5分以上かかる場合もありますが、1問解くのに3分でも足りなくなることがあるのです。

 

10問取れれば合格ですが、どの10問を解くのかというのが大きな問題です。

基本的には解きやすい問題、手をつけやすい問題から解くように言われると思います。

反対に、難しい問題は飛ばすか、後回しにした方がいいと言われます。

 

でも、実際に解いてみないと解きやすいかどうかはなかなかわからないのです。

とりあえず問題を読んで、何か試してみるとします。

そうすると、それだけで1~2分かかってしまうのです。

解けそうだと思っても、案外計算が難しかったり、数値が合わなかったりすることがあります。

5分かけても正解出来なければその5分は無駄ということになってしまいます。

 

16問あったとしたら、6問まで捨てても大丈夫ということですが、その見極めに意外にも時間がかかるのです。

6問に平均2分くらいチャレンジしてみたとすると、それで12分を使ってしまいます。

5分以上ハマってしまう問題が1問でもあれば、合計15分以上を使ってしまっていることになります。

残り35分で10問正解しなければならないわけですから、1問あたり3分30秒しかないのです。

2分で解ける問題が1問あったとしたら1分30秒稼げますが、5分以上かかる問題が1問あればチャラになってしまいます。

 

けっきょく運命を左右するのは、

・問題を見極める力

・早めに諦める決断力

・正解できる問題を素早く解ける解決力

ということになります。

 

つまり、そういう力が不足している人には全然時間の余裕などないという話ですね。

 

 

【問題点 その2】 点数が足りない

 

10問解けばいいと言っても、配点が平均で6点以上にならなければ6割は超えません。

難しい問題を回避し、易しい問題を確実に取りに行ったとすると、どうしても1問あたりの配点が低くなってしまうのです。

配点の高い問題は大問の(3)とか大問5とか6といった最後の方の難しい問題になります。

大問1の計算問題などは配点が低いのです。

 

ということは、10問では足りないということになります。

4点問題が5問もあれば、目標点数に10点足りなくなります。

目標をクリアするにはあと2問くらい必要になるのです。

 

そう考えたら、やはり16問あったとしたら11~12問くらいを取らないとこの作戦はうまくいかないのです。

12問正解すると考えたら、1問あたり3分を切るくらいで解かないと時間が足りません。

 

 

【問題点 その3】 注意力が足りない

 

人間誰でもミスをします。

本番でもミスをします。

※ミスをしない人もいます。

 

平均すると1回のテストで2~3問のミスがあります。

ただし、ミスというのは本来の実力であれば解けるはずの問題が不正解(無解答は除く)だったと定義します。

つまり、取りこぼしです。

 

ですから、10問解いたつもりでも実際には8問しか解けていなかったりするわけです。

※もっと少ない人もいます。

 

ということは、6割以上取るためには8割近い問題数を解答しなければならないのです。

16問あったとすれば、13~14問くらいは取り組まなければなりません。

となると、捨てられるのは後半の大問の最後の小問くらいです。

3問捨てると約24点、残り76点のうち8割正解で約60点という計算になります。

配点が低い問題を間違えていたらまだよかったと言えるかもしれません。

 

3問は捨てるとしたら残り13問を50分で解き切らなければなりません。

ですが、その中にはけっこう難しい問題も入ってきます。

捨てるべき3問をうまく見極めて、1問あたり平均3分程度で解けないと合格最低点に届かないのです。

 

 

【問題点 その4】 実力が足りない

 

塾の学力テストで60点(平均点)を取れている偏差値50の人が、A判定偏差値50の学校を受験したとします。

そうすると、普段の塾のテストと同じくらいの時間配分で6割くらいは取れるようになります。(あと3ヵ月で)

そう考えたらそれほど難しいことをやれと言われているわけではないのです。

 

偏差値50の人がA判定偏差値40台前半の併願校を受験するとしましょう。

これは毎週のテストを受けているのと同じような点数を取れたりします。

試験時間が余って試験中に寝ていたなんていう話もよく聞きます。

1問あたり2分くらいで14問解いたとしても30分弱です。

見直しに10分、残り2問に10分かけて9割くらい解答して、7割くらいの得点になります。

かなり余裕があります。

 

ところが、偏差値50台の人が最難関校を受験するとなると状況が一気に変わります。

志望校別コースのテストに苦しんでいる人もいると思います。

それと同じことが過去問や実際の入試でも起きる可能性が高くなります。

1問あたり5分以上かかれば、10問も解けません。

そのうち8割正解出来たとしても8問、1問の配点が平均6点だとして48点です。

12点以上足りないことになります。

必要なのは正解をあと2問です。

最低でも10分は足りません。

正解率や難易度を考えたらもっと必要です。

この人にとっては「時間が足りない」ということになるわけですが、もし試験時間が60分あったとすると合格最低点ももう少し高くなるのではないでしょうか。

 

 

 

「50分で6割取れればいい」

このセリフが間違っているわけではありません。

1分あたり1.2点などと考えてしまうからおかしくなるのです。

 

もう少し現実的に考えて、”1分あたり2点”としてみましょう。

配点が4点の問題なら2分、8点の問題なら4分の時間があることになります。

 

実際に配点の高い問題は解くのが難しかったり、時間がかかる問題です。

逆に配点の低い問題は易しい問題で、場合によっては完答問題だったりもします。

これはコストパフォーマンスという点では非常に合理的な配点とも言えます。

5分くらいかけてやっと解いた問題が、10秒で解ける問題と同じ配点では不公平(実力を判定しにくい)とも言えます。

計算問題を2問間違えても難易度の高い問題を1問解ければ取り返せるのですから、学校が求めるような優秀な受験生にとっては有利になるのかもしれません。

 

正解率が8割だとすると、60点取るためには75点分の問題を解かなければなりません。

1分あたり2点で考えると、約38分必要です。

試験時間が50分なら残り12分です。

12分の間に捨て問を選別し、可能な限り見直しをし、さらに時間があれば捨て問を拾いに行く。

これでようやく合格最低点を越えられるということになります。

 

 

今後の課題

 

・1問あたりにかかる時間を短くする

・捨て問の見極めを早くする

・見直しの時間を確保する

 

過去問を解くにあたっては、

・合格最低点を時間内に取れる実力を身につける

・試験時間、配点、難易度など、その学校の入試問題の傾向にあった戦略を立てる

・時間感覚を身につける

 

といったところでしょうか。

12月くらいまでに合格最低点に届くようになれば勝機が見えてきます。

(ただし、入試は総合点で考える必要があります。)

そのために必要なことをこれからの2ヶ月でやっていかなければならないのです。

 

現時点で過去問の合格最低点をクリアしている人は、引き続き他の年度のものをやっていきましょう。

点数は取り過ぎて困ることはありません。

わざわざ点数目標を合格最低点レベルまで下げる必要はありません。

つぎは合格者平均点を目指しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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