「志望校判定模試でA判定が取れたんです。合格可能性80%ということですよね?」
なんていう話をよく耳にします。
大手塾ではA判定の基準を「合格可能性80%以上」としているところが多いと思います。
”80%”ではなく、”80%以上”です。
これは、昨年度の受験者の入試結果に基づいて算出される値です。
例えば、ある学校のA判定ラインが偏差値60だったとします。
これは昨年度の偏差値60以上の全受験者のうち、80%以上の人が合格しているということになります。
そして、偏差値59以上の全受験者のうち、合格者は80%未満であるということになります。
そうやって、合格率が80%を切る偏差値の1つ上にA判定ラインを引くのです。
ということは、
「A判定なら合格可能性は80%以上」と断言できるのです。
ただし、合格可能性とはA判定偏差値以上の全受験者のうち、合格者の割合が80%以上という意味です。
これについては、塾が数値をいじったり誤魔化したりしない限りは正しいと言えます。
ですから、
「A判定を取れました。合格可能性は80%以上ですよね?」
と聞かれたら、
「そういうことになります。」
と答えていいのです。
しかし、
「ギリギリでA判定を取れました。合格可能性は80%以上ですよね?」
と聞かれたら、話は変わってきます。
”A判定の人”と”ギリギリA判定の人”は前提となる条件が異なるのです。
”A判定の人”というのはA判定偏差値以上の人全体を指します。
”ギリギリA判定の人”というのはA判定偏差値ちょうどの特定の人を指します。
合格可能性というのは「全受験者のうちの合格者の割合」ですから、特定の人の合格可能性ではないのです。
「何を言っているのかわからない」という人がいるかもしれません。
もう少し簡単に考えてみましょう。
80%というのは「5人のうち4人」と置き換えてみましょう。
「ギリギリでA判定を取れました。A判定5人のうちの4人は合格できますよね?」
と聞かれたら、「そうです。」と答えます。
その人が合格するかどうかは関係ないからです。
ですが、
「ギリギリでA判定を取れました。合格する4人のうちに入れますか?」
と聞かれたら、「それは努力次第です。」ということになるのです。
もう一度いいます。
「合格可能性80%以上」とは「A判定偏差値以上の全受験者のうち、合格者の割合が80%以上」という意味です。
それぞれの受験生が合格できる確率を意味するわけではないのです。
つまり偏差値ごとの合格確率ではありません。
「塾生5人のうち4人が志望校に合格」というのと一緒です。
この塾に入塾すれば80%の確率で志望校に合格できるという意味ではないのです。